このレビューはネタバレを含みます
戦下の満洲で日本軍が行う人体実験。
旅行中にそのおぞましさを目の当たりにした優作は密告を計画するが、妻の聡子にバレてしまう。
みたいな話。
優作は単なる偶然を自分の運命と信じて、大望に人生を投げうち、国家と闘う選択をするが、本来の彼は知的で上品なコスモポリタン。
一方で妻の聡子は、優作の元で不自由なく暮らし、遊びで女優をする上流階級のお嬢さん。
聡子が優作を問いただすシーンの緊張感は静かで狂気じみていて息を飲んだ。過剰なライティングと真正面の高橋一生。
高橋一生のうなずき声、声の余韻、間の取り方はやっぱり自然な感じがしてよかった。古風な言い回しや服装があっても、演技が自然だったからか、すんなり入ってきた。
脚本的にも、
劇的な人生に酔い始めていた聡子を騙して日本に置いていくのは、予想外だけど期待通りという展開。途中から情緒不安定になる聡子を演じ切った蒼井優もやっぱいいっすね。
なんで今この作品を作ったのかはまだちょっと分からん。