スパイの妻の作品情報・感想・評価

上映館(64館)

「スパイの妻」に投稿された感想・評価

もともとNHKドラマ(BS8K)らしい。
主演ふたりのどっしりとした安定感。
東出は大根だけど「心のない人」の役にはハマる。
脚本(3人)に濱口竜介監督の名前があった。
展開のサスペンス的仕掛けはかなり早めに読める(そこが主軸じゃないので問題ないのだが)。
路面電車内のシーンが2回あったけど、どちらも窓が光で真っ白(外が見えない)だったのが、オトナの事情かもしれないがちょっと気になってしまった。
客が中高年のおじさんばかりだった。
Takuma

Takumaの感想・評価

4.0
気概のある、耽美で不穏で、不思議な雰囲気を纏った作品。黒沢監督の映画を初めて見たのだが、『寝ても覚めても』の印象的な濱口演出の背景を回収でき、腑に落ちた感じがする。東出昌大、今作でもやけに恐ろしくて良かったです。

以下雑記
荘子itの本作に向けた批評文を目にした方はどれくらいいるだろうか。この長文を読みきる忍耐力、読解力を有するのはこの国のマジョリティに属する人間だろうか。残念ながら現状はそうではない。
好奇心や知的欲求でかかるべきエンジンが、承認欲求で動き出してしまう。そこにはマイナーとは決して呼べない変化が起きている(元来人間とはそういうものなのかもしれないが、悪変の加速度と波及度合いが凄まじい)。知のスタンプラリーは、恐らく集めた当の本人が数年後に失くしてしまっているのではと思う。メディアやツールと向き合うリテラシーと聡明さをもう一度獲得したい。自戒を込めて。
https://www.cinra.net/column/202010-wifeofaspy_kngshcl

このレビューはネタバレを含みます

少ない主要登場人物、限られた場面設定で繰り広げられるサスペンスは、舞台向きな気がする。
まず、流暢で古風な言い回しの台詞が違和感なく、その時代に生きている人々てあると錯覚する。
夫婦の探り合いが続くが観ていて飽きないのは、お話の良さもあるが、やっぱり演技力の高さに目を釘付けにさせる。
途中、優作の真実を知ったさと子が秘密を共有していることにイキイキしていく感じが伝わってくる。そこに、狂喜じみたものがある。
なので、聡子が泰治と取引して裏切り女は怖いんだな落ち、と予想していたら逆の展開で驚いた。

フェイクかも知れないけど、日本軍のペストで人体実験、級の出来事を知ってしまったら自分だとどう行動するんだろうと考えてしまった。

以下気になったところ
●自主制作映画が金庫開ける伏線。
●光の演出が凄い。影の濃淡。でも、バスに乗ってる時の背景白いの気になった。
●ボブがボブっぽい。
●スクリーンの前で笑う蒼井優。精神病院に連れていかれるのも納得な怖さ。
Pandano

Pandanoの感想・評価

3.6
黒沢清に詳しいわけではないけれど、これまで《落とし所》がわからない、という印象を受けてきた。
この作品はそれはなかったけれど、最後のテロップは反対に説明し過ぎでは?蒼井優が泣いてるところで私は十分。以前からよい女優さんと思っていたけど、お見事です、ね。

途中から「なに?この、ままごとみたいな夫婦は?」と思っていたら、高橋一生、そうきたか!
童顔だから本物のままごと夫かとミスリードしてました👦🏻
「お見事!!!!」
読めると言えば読める展開ながら、蒼井優の演技力は暴力的なほどのクオリティで、ゾワッと気持ちのいい鳥肌が立つ。
高橋一生~!!年上好きの女子が皆大好き高橋一生…。最高のクズでした。誉め言葉。
なみ

なみの感想・評価

3.8
こちらも先月の記録。
高橋一生の究極に自然なお芝居は、芝居をしていないのではなく、自然になるように考え抜かれた芝居だからこそ自然になる。それはもはや自然に見えるではない。成るである。そしてそれはスパイという役柄でも変わらないのが凄まじい。
黒沢清のライティングセンス、カメラワーク、全てが意外にも陽に働いており『CURE』と逆ベクトルの最高傑作になっている。
モモ

モモの感想・評価

3.4
さすが黒沢清の演出は全てのカットに根拠がはっきりしていて、明解で見やすい。
神戸という土地、セットの力、豪華なモブシーンが功を奏している。
しかし、ヒロインがフィルムを観てから、スイッチが入って着物に着替えるあたりから、夫への愛情から走り始めるのが、どうも腑に落ちない。
愛といえば愛だが、けむにまかれて、映画はそういうものだと、いわれてるようでのれなかった。
当時の軍人は、日本だけでなく、アメリカも傲慢で
大国の間に翻弄される個人を描いているとはいえ
まだ史実かわからない731部隊を事実のようにして、その上で現代の作家がフィクションを展開しているのは、とても傲慢な気がした。知的誠実さよりも、無意識のイデオロギーに感化されたまま表現したのではないか。
タランティーノがナチをだしさえすれば、自分の暴力描写を好き放題やっていることに辟易した、イングロリアスバスターズのように。
フィクションをやるなら、歴史を都合よく扱うのではなく。
過去を裁くなら、ちゃんと真正面から調べて文献を両方の観点からあさって、そういう題材の映画でやるべきだ。

このレビューはネタバレを含みます

2020/11/26
メトロ劇場


すごかった
いや、すごかったで片付けるのもどうかと思うのだけれど
圧倒されてしまって…
ものすごく疲れました。
そのくらい熱量があったし
少しも目を逸らせずに
かじりつくように見ていました


話の本筋とはずれる感想になるかもですが

優作の信用できなさ加減が際立っていて
何を言っても怪しくてずっと疑ってしまっていたし
それでも
途中からオチが読めたものの
とてつもなく聡子への愛を感じた


優作が満州で偶然見つけてしまった国家秘密
持ち帰ったもの、草壁弘子の存在
彼や、彼の協力者からは秘密を共有されず
自分にはなにも知らされず
仲間外れのような立ち位置の聡子は
彼を疑い、信じることができなくなる
話を聞かされても
「君はなにも見ていない」
と言われる始末


そんな前半からは想像もできないほど
後半になるにつれて
聡子の変わりようがすさまじい
見てはいけないと言われたそれを
彼女が見てしまってから
どんどん変わっていく
黙ってついて行っていた妻ではなく
夫と秘密を共有することで
彼のいちばん近くにいて彼を理解できるのは自分だと
そう思ったのではないだろうか

だからこそ甥をあんなふうに利用したのだろう
以前の聡子ならば考えもしなかったように思える
ことがうまく行くように
そこまで計算してとった行動だった


洋物がよくないというような話があったけれど
そう言われて泰治のところへ行く時はしっかり和装をしていたり
そういう細かなところに聡子のしたたかさを感じる


幼なじみでもある、分隊長、泰治を演じていた東出くん
サイコパスという言葉がお似合いで
異様な空気を漂っていました、なんともはまり役かと

主演のお二人の演技に圧倒され続けて
すごい演技を浴び続けて疲れてしまった
けれども、
どうにもお見事!と言う他ない


蒼井優ちゃんが圧巻だったのです
前半と後半変わっていく姿は見もの

映写機をさわったり
宝石を丁寧に扱ったり
聡子の指先が綺麗だった印象
そういう撮り方をしているのかな?
監督自身がロケ地、衣裳、美術、台詞回し、すべてにこだわったというのもうなずける

理解できなかった部分は圧倒的に自分の知識不足
もっと勉強しなくては


君はスパイの妻なんかじゃない
もっと堂々と生きていればいい


優作から聡子への愛
聡子から優作への愛
愛の種類や形は違うかもしれないけれど
夫婦のつながりを感じたのだ


セリフの長回しシーンはすさまじい
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