よう

ウルフ・アワーのようのレビュー・感想・評価

ウルフ・アワー(2019年製作の映画)
3.5
「マインドブレイクスリラー」とは? と思って鑑賞。
1977年7月のNY、引きこもりの作家の日常を描いた作品。


頻繁に鳴らされる部屋のブザー、窓下にはスラム化したストリート、ラジオからは〈サムの息子事件〉を伝えるニュース、部屋から出ることが出来ない主人公……。
とにかく、ずっと不穏な空気感が続いていく作品。

シリアルキラーの事件も大停電も実際にあった出来事。
この期間のNYをほぼ主人公の視点だけで見せてる形。

正直、鑑賞直後はよくわからなかった。
というのも、終盤以外は特に大したことが起きないので。
主人公の部屋にたまに誰かが入ってきては去っていくのだけど、主人公はちょっとずつしか変化していかない。

主演のナオミ・ワッツが出ずっぱりで一時間半引っ張る。
ノーメイクな感じ、汗ばんで髪もボサボサ、部屋も汚い……ナオミ・ワッツにしては意外な役どころ。
彼女は製作総指揮にも入ってる。こういう役をやりたかったのかも。
暑がりながら、怯えたりモヤモヤしてたりしてるってことがほとんどなんだけど、なんか観ちゃう。無名の人だと、こうもいかないかと。

作品全体、けっこう集中できた。
小さな謎が提示されつつ、ほとんど明かされないまま進んていく形だからってのもある。
鑑賞後、しばらく「これはこういうことかな?」みたいに考えちゃうぐらいには楽しめる作品ではあった。
(コメント欄に追記してます)

あと、ブザーの音の不快さが強調されてるのも地味によかったし、劇伴がけっこうよかった。不穏なフレーズが繰り返し鳴ってる感じ。後半、それがかすかに明るい感じになっていくのもいいなと。

暑い夏に、同じように暑がってる主人公と77年NYの空気感を味わう。
何かを匂わしてる時間が長いし、説明しなさすぎな作品ではあるけども、退屈せずに観ることができたので、自分は好感を持つ作品。
結局、マインドブレイクスリラーってのは「マインドがブレイクした人が感じるスリラー」ってことなんだろうか。
よう

よう