よーだ育休準備中

星の王子ニューヨークへ行くのよーだ育休準備中のレビュー・感想・評価

3.5
アフリカ大陸の何処かに位置するザムンダ王国の王子が21歳の誕生日を迎えた。国王が決めた許嫁との結婚を迫られた王子が、外遊と称してニューヨークのクイーンズへ理想の花嫁さがしの旅に出る。


◆マジでちゃんとしてるE.Murphy

ザムンダ王国の王位継承権を持つ、国王の一人息子である王子Akeemを、Eddie Murphyが演じる。こんな事を言ったら怒られちゃうかもしれないけど、すごくちゃんとしてる。もう本当に、びっくりするくらいちゃんとしてる。

ごりごりの絶対君主制を敷いているみたいなのに、割と裕福な国家らしいザムンダ。そんな国の王族たちの生活スタイルは非常にしんどそう。歯磨き係にトイレ係。至れり尽くせりの範疇を超えた煩わしさなんだが。そんなガン見されたら出るものも出ないわ!羞恥心も無くなってしまうわ!(男子諸君のおっしゃる通り、お風呂係に関しては羨ましすぎるけどな…!)

そんな王家のしきたりに意を唱える革新派のAkeemが超好青年。〝下だけじゃなくて頭を刺激してくれる女性〟を探しにニューヨークへ渡るのだが、自分という人間を愛してほしいからと身分を隠して(隠すどころか卑しい身分にまで貶めて)市井に紛れる。身分を隠していても気品と知性が漂う王子。ビバリーヒルズの某警察官とはちょっと違うな!


◆プロットは王道のハッピーなロマコメ

意志が強くて自立したハンバーガーショップの娘Lisa(Shari Headley)にAkeem王子が一目惚れ。彼女とお近づきになるべく、王子は御連れのSemmi(Arsenio Hall)と一緒に彼女の父親が経営する店舗でバイトを始める。マクドナルドの経営マニュアル片手に堂々と(丸パクリ)しているお父様、超カッケーわー。

気になる彼女には金持ちで底意地の悪い彼氏がいたり、彼女の妹(肉食系女子)から好意を寄せられたり、隠していた身分がバレそうになったり、パパ様御一行が乗り込んで来ちゃったりするのだけども、ジェントルな主人公パワーによってあっという間に良い雰囲気。

ロマコメだから途中わちゃわちゃってするんだけど、やっぱりEddie Murphyが最後の最後までちゃんとしてる。ただの素敵な王子様。《星の王子》っていう邦題は本当に意味がわかんないけど、終始高貴な御仁でしたね。ラストのハッピーエンドへの持っていき方は多少強引だったけど(主人公パワー!)、ロマコメだしまぁいいよね。

途中で王子の株価に上昇圧力をかける強盗乱入事件が発生するのだけど、その強盗役を演じている俳優がまだ駆け出しだった頃のSamuel L.Jackson!ショットガン片手に暴れるチンピラなので、まだまだ目力の強さは無いものの、なんだか貴重な映像が観れたようで得した気分でした。


◆E.Murphy四変化

今作を観る前にEddie Murphyが一人で複数の役柄を演じている作品【ナッティ・プロフェッサー】を観たことがあったので、Eddie Murphyが一人四役こなしているっていうことにそこまで驚かなかった。むしろ相棒のArsenio HallもMurphy同様に一人で複数の(ちょっとおバカな)役柄を演じていたことの方がびっくり。

今作でもEddie Murphy(それとArsenio Hall)が一人で複数の役を演じていたけど、公開順で言うと今作の方が早いみたい。主要なキャラクターを非ボケとして据えた代わりに、おバカ要因としての二人目三人目を用意したっていうことなのかな?真面目な役を演じるならば、ふざけた役も演じてしまえばいいじゃない。的な?

Eddie Murphyの七変化なら断然【ナッティ・プロフェッサー】の方が役柄の質も量も(お下劣さも)レベルが高いと思うけど、この手法を生み出した作品が【星の王子〜】という事なら着眼点は素晴らしいと思う。