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星の王子ニューヨークへ行くのnetfilmsのレビュー・感想・評価

3.8
 手付かずの自然と豊富な資源が眠るアフリカの王国ザムンダ。21歳の誕生日を迎えたアキーム王子(エディ・マーフィ)は、父親のジャッフェ・ジョッファ(ジェームズ・アール・ジョーンズ)国王によって勝手に自分の花嫁を決められてしまう。過保護な両親の庇護の下、何一つ自分で決断させてもらえず不満を持つ王子は、「自分のパートナーは自分で見つけたい」と花嫁探しの旅に出ることを申し出る。婚約式の席で、彼の前に姿を現わした花嫁候補のイマニ(ヴァネッサ・ベル)は、政略結婚のための徹底した花嫁教育をうけていて、王子ををうんざりさせる。国王は渋々、式まで40日間の猶予を息子に与えるのだった。早速彼は、世話係のセミ(アーセニオ・ホール)を引き連れて「自由の国」アメリカへと向かう。ニューヨークのクイーンズに到着した2人は、ダウンタウンの怪し気なアパートに部屋を間借りし、身分を隠しての花嫁探しが始まった。ところが都会的でガツガツした女ばかりのニューヨークに落胆した2人は、ある日ハンバーガー屋マクドーウェル家が主催する慈善イヴェントに参加し、マクドーウェル(ジョン・エイモス)の美しい娘リサ(シャリ・ヘッドリー)に一目惚れする。

 アフリカの御曹司とニューヨークの美女との身分不相応な恋。まるで『水戸黄門』や『暴れん坊将軍』のように身分を隠し、民衆のもとへ潜入するエディ・マーフィのコメディアンぶりが痛快で微笑ましい。ハンバーガー・イン“マクドーウェル”で働き始めた彼と彼女の間に割って入る整髪メーカーの御曹子で何かと金に物言わせるダリル(エリク・ラサール)の傲慢さ。世間知らずのお坊ちゃんは決してニューヨークの街に染まることなく、優しさと大らかさでリサの心をそっと包み込む。80年代後半のニューヨークの落書きだらけの地下鉄、黒人たちに流行のファッション、当時のNBAの1流プレイヤーたち。そのどれもが少し懐かしく、2人の恋の行方に花を添える。ニューヨークとアフリカ、真逆のような世界に身を置いた2人の恋は、様々な障害に阻まれ行ったり来たりする。マクドーウェルに押し入った銀行強盗を今やすっかり有名になったサミュエル・L・ジャクソンが演じている。荒唐無稽なアフリカ設定は今観るとかなりキワドイが、王道のラブ・コメらしいクライマックスにじんと来る。当時Kid N Playの片割れと結婚していたシャリ・ヘッドリーが懐かしい。

いよいよ本日!! Lynchにて『映画の日』!!
24回目の特集は濱口竜介と2000年代の黒沢清!!
今回でまる2周年です。皆さんの来場を心よりお待ちしております。

2019.4.25.(木)21:00~03:00 『映画の日 24』
@Music Bar LYNCH  栃木県宇都宮市二荒町8-12
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