タッド

王将のタッドのネタバレレビュー・内容・結末

王将(1948年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

男が本物になるために支える女って意味では、溝口健二の「残菊物語」といい、この作品といい、本当に素晴らしい作品が多い。そして、支えた女はこの世を去っていく。名人になった関根に自分があげられるものは他にないと10数年振りに作ったわらじを渡しているところは素晴らしいな。そして、そこに妻が死にかかっていると電話がかかってきて妻に向かってお題目を唱える阪妻。怒涛のドラマ的展開へと流れ込んでいくラストは圧巻だ。妻の水戸光子たちが自殺しようとしたことを知り、もう将棋はやめると阪妻は火鉢に将棋の駒を投げこむが、王将だけが外に落ちていてそれを水戸光子が見つける様子(死ぬ間際までそれを握りしめている)や機関車の蒸気が三吉たちの住んでいる長屋にまで流れ込んできている映像の見せ方が余計な台詞を使わずとも登場人物たちの心が伝わってきて強く印象に残こっている。途中から出番が減ってしまうが、新蔵役の三島雅夫が何ともいい味を出しているわ。
タッド

タッド