oldmanSEヨK

夏への扉 ―キミのいる未来へ―のoldmanSEヨKのレビュー・感想・評価

-
【カタルシス弱し】…というか無かった。
まぁ、もともとこういう話ではあったんだけど…

原作を読んだのはン十年前だろうか。
SF小説としては既に古典でマストにはなっていたものの、自分が読んだ当時は、まだまだ新鮮なタイムトラベルのカラクリではあった…それでも、あまりに気持ち良すぎる展開に、ご都合主義感は否めなかった。
でも、まぁ当時の気持ちとしては、SFでのこういう分りやすい易い気持ちよさもアリではあった。

そして現在は、もう、こういう話が乱発し過ぎてるんですよ。
更に凝った仕掛けや、凝りすぎてカラクリが読みにくかったりと、様々なタイムトラベルのバリエーションが出尽くしてしまっていて、正直”今更”感は否めない。

いくら仕掛けを変えても元ネタには勝てない…というジャンルではないので、原作が世に出た時は新鮮だったかもしれない当時からすると、逆に仕掛けが大人しく感じてしまった。
(観る前から予想はしていたけれど)

…とストーリーやネタだけでみるとそうなっちゃうんですが、この原作は、やっぱそのタイトルと猫の存在、そして導入部のモノローグの掴みが魅力ではあるんです…が…。

観始めて、少し前にやってたユースケ・サンタマリア主演のドラマ『アルジャーノンに花束を』を思い出してしまった。

そして、やっぱりこの物語の主人公は裏切られ全てを無くし絶望の縁に追いやられることからの逆転劇なんだけど、正直、そこまでの段取りが時間不足に感じてしまった。さっき出てきたばっかの人達に裏切られてもイマイチ説得力がないんだよなぁ〜。
ドラマの特別枠の長ぁ〜い1話の最後の最後で裏切られる…くらいじゃないと絶望感が生まれないんだよなぁ〜。
それと巻き返すにしても、ちゃんとひとつひとつの関係を積み重ねて、それなりの無駄とも思われる時間が過ぎて、ある日突然それらがピタゴラスイッチのように機能しだすのが原作の面白さだったように記憶してるけれど、そこも弱い。

そして、メインとなるアレなんだけど、主人公はそれはそれで受け入れるスタンスだったわけだけど、予想外なサプライズ展開で、これ以上ない完璧なラストが訪れたのは、当時は余りにも大胆過ぎる展開にビックリしたんだけど、今ではフツーか?(笑)時代的にちょっと弱くなっちゃったかな。

これはドラマの12話くらいで、じっくりとやった方が良かったかなぁ…

原作のもうひとつの魅力である、詩的な情感も欲しかったなぁ…。