トムトム

夏への扉 ―キミのいる未来へ―のトムトムのレビュー・感想・評価

2.0
S Fを好きになったらまず手に取る古典的名作S Fの実写化に不安がありましたが、その不安は的中しました。

今読んでも爽やかな読後感と逆にレトロフューチャー的な魅力のある世界設定が素晴らしいのですが反面、牧歌的ですらあるタイムトラベルを含むご都合主義的すぎる展開やオッサンの妄想的な気持ち悪さのある恋愛部分が結構キツいです。

そこら辺をどのように現代的なアップデートを施したのか期待したのですが、長所はスポイルされ短所が目立つような残念な作品になっていました。

原作は1957年に1970年と2000年の未来を描くS F小説でしたが、今読むとレトロフューチャー的な魅力がありました。

しかし大掛かりな未来都市をデザインしなくていい様にか1995年と2025年を舞台にしたためレトロフューチャー感は消え、コールドスリープが実用化されヒューマノイドやタイムトラベルが開発されようとしているがその他は現実のままの1995年という都合は良いが飲み込みにくい世界設定になっています。

ヒューマノイドが人間の仕事を肩代わりしている2025年世界は「仮面ライダーゼロワン」で見た事ありますよ。

ドラマ部分も2時間サスペンスの様に悪事をペラペラ喋り出す悪役や異様に物分かりのいい1995年の主人公を助ける人々、特に今作のオリジナル要素であるヒューマノイドロボットのピートの存在がご都合主義展開に拍車をかけています。

恋愛部分もヒロインの年齢を11歳から高校生にしたり主人公を山崎賢人にする事でヤダ味を消そうとしていますし、ヒロインに自分の人生を選ぶ様な助言もしています。

しかし結局ヒロインは周囲の世界や育ててくれた義両親、自らのキャリアの全てを捨ててコールドスリープを選ぶのになんだかなぁという感じに。

今だったら自分の人生を生きて40代後半になったヒロインが27歳の主人公と結ばれる結末で良かったんじゃないでしょうか。

余談ですが「夏への扉」が映画化した時にサブタイトルをつけるとしたらどれがいいですか?というTOHOシネマズ会員向けに送られたアンケートにはシッカリと「サブタイトルはいらない。」と答えておきました。
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