みおこし

嵐ケ丘/嵐が丘のみおこしのレビュー・感想・評価

嵐ケ丘/嵐が丘(1939年製作の映画)
3.5
イギリスがよく分かる映画シリーズ!エミリー・ブロンテ原作の不朽の名作の映画化。何度もされてますが、これは1939年のローレンス・オリヴィエ&マール・オベロン版。

吹雪で道に迷ったロックウッドは、「嵐が丘」と呼ばれる館に辿り着く。陰気な館には主人のヒースクリフが暮らしていた。その夜、寝室の窓の外からキャシーという女の声が聴こえ、ヒースクリフは慌てて外に出る。このことから、ロックウッドは「嵐が丘」の悲劇を知ることになり...。

舞踏会が頻繁に開かれてハープシコードの演奏をみんなで聴いたり、ワルツを踊ったり...なんて。イギリス文学の世界って素敵なの!(笑)と感動しつつも、想像以上に深い愛憎劇にビックリ仰天。
身分の違う恋、すれ違いの恋、そして永遠の恋。『嵐が丘』のヒースクリフとキャシーはまさにこの三要素揃った大恋愛をします。運命のいたずらで、なかなか一緒にはなれない...。観ながら何度も「あーーなんでこうなるのーー!!」と胸がかきむしられるような思いになりました(笑)。

キャシーの気持ちも分からなくはないけど、彼女が上流社会への憧れを持っていなければ、きっと2人は幸せになれただろうし、ヒースクリフもあんなに荒れなかったでしょう。
家庭内でも虐げられ続けてきて、キャシーだけを支えに生きてきたヒースクリフが彼女を失ったらそりゃ発狂しちゃいますよね!!だとしても、ヒースクリフがイザベラにしたことは男として最低だと思いますが(笑)。
一番かわいそうなのはやっぱり周りの人々。イザベラの無垢な思いやりが無下にされた気がして、某シーンは腹立ちました(笑)。
総じて登場人物全員、自分勝手すぎる!自由人すぎる!!

マール・オベロンは、イギリスとインドのハーフらしいですが、もう信じられないくらい美人で吸い込まれそうでした。なんてエキゾチックな美貌!!
サー・ローレンス・オリヴィエも、病んでるヒースクリフの役なので死んだ魚のような目をずっとしていて怖かったですが(笑)スタイル抜群だし、キスシーンの時の色気がやっぱり英国紳士ならではのカッコ良さ。舞台や映画で、本作のようなイギリスの古典文学を何度も演じてきた名優さん、存在感バッチリでした!
ほぼ感情移入できるキャラクターはいなかったですが、2人の熱演に思わず見入ってしまい、ラストの寝室のシーンはうるっとしました。
原作とは展開が少し異なるんだとか!!ちゃんと読まなくちゃ!!

...それにしても1939年ってすごい年。『風と共に去りぬ』『駅馬車』『オズの魔法使』『ニノチカ』『スミス都へ行く』そして本作が全て同じ年に発表されてると思うと、ハリウッド黄金期の凄みを感じます。
というか本作、ウィリアム・ワイラーが監督なんですね!かなり初期!!
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