ちろる

嵐ケ丘/嵐が丘のちろるのレビュー・感想・評価

嵐ケ丘/嵐が丘(1939年製作の映画)
3.5
何度も舞台や映画化もされている本作。
何度見ても何度読んでも陰鬱で自分勝手な2人に共感することはないのだけど、
ローレン オリヴィエの暗闇の中を迷走するような暗い演技と、マール オベロンのメンヘラ全開な演技は原作のイメージ通りで、嵐が丘の荒廃した世界観もしっかりとそのままに映像化されていた。

端的に書いてしまえば、これはややこしい性格同士の男女がその性格と境遇から負の連鎖続ける昼ドラ風ドロドロ愛憎劇なのだけど、文学的に評価されて、こんなに長きに渡って舞台化や映像化される訳はこの映画で観ると何となく分かる。

嫉妬深く、欲深くて、過ちを繰り返し、素直になれないといった、人間の持つありとあらゆる愚かさを、運命の恋というテーマに載せて描いた一筋縄ではいかない反面教師的な意味合いを持つこんなラブストーリーはやはり唯一無二で、
何年経とうがどんなラブストーリーとも被ることなく存在として残っている理由なのかもしれませんね。
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