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二人ノ世界のゲルのレビュー・感想・評価

二人ノ世界(2017年製作の映画)
4.1
イ・チャンドン監督の『オアシス』と共通点が多いという指摘に、なるほどと思った。
私は本作の方が好きである。
切なくて、繊細な作品。
安っぽい感想だがあえて言おう。
泣いてまうやろー!!
華恵役の土居志央梨は元々好きな役者だったけれど、ますます好きになった。
撮影当時まだ学生だったというのに、非常に落ち着いていて、背景にある悲しい過去に相応する年齢設定に違和感がない。
和風美人で、母親のような包容力が魅力的。
登場人物たちの柔らかな京都のことばも、作品の世界観を優しい雰囲気で包み込んでいる。
そのことばで厳しいことを言われると、棘があってすごくきつく聞こえる不思議。
秀作役の永瀬正敏は、初対面の女性にいきなり下ネタ爆弾を投下することから始まり、華恵に出会ってからは態度がどんどん柔らかくなっていく様子を表情の変化で演じていて、さすがだと思った。
何かが解決したわけでもないけれど、なぜか幸福感さえ感じられるラストは、この作品には最高の終わり方だったと思う。
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