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シドニアの騎士 あいつむぐほしのdenizのレビュー・感想・評価

3.9
「身長差だって、たったの15mだ!」

映画館再開に心から感謝を。
砲弾の破裂音を、人型兵器・衛人(もりと)の加速音を、宇宙の片隅で恋が始まる音を、無重力空間で涙が溢れる音を、ぜひ映画館で体感して欲しい。
これは映画館で愛されるべき映画だと思う…!

前作となるアニメのシーズン2から10年後を描いた、シリーズ完結となる劇場版。
1000年以上も前に未知の生命体によって破壊された地球。
わずかに残った人類を乗せた巨大な宇宙船"シドニア"は、新たな惑星への移住を求め、最終決戦へと向かう。

精緻なSFでありながら、とても等身大なラブストーリーでもあるシドニア。
大人になった長道の主人公力が凄まじい。
長道ってあんなにイケメンだったっけ…?笑
そしてヒロインであるつむぎの描写が大変可愛い。
長道との空中デートの初々しさ、いじらしさといったら。
誰かを恋しく想う気持ち、愛しいと想う心は変わらない。そう感じさせてくれた。
その姿が例え、人間と未知の生命体との間に生まれた身長17mの融合個体であってもだ。
原作とは節々違う流れながら、なんとも清々しい見事な完結。
そしてシドニアの世界に没頭させてくれるポリゴン・ピクチュアズの技術の枠。
あの曲の使い方が神懸っていて鳥肌が立った。
堪らず泣いた。
海苔夫が…あのパリパリだった海苔夫が…涙
かっこよかったよ海苔夫…!!

「人類の播種」を目的とした全長わずか約30kmの宇宙船シドニアには、いくつもの景勝地や娯楽地が存在する。
生態系保存を目的とした海水槽。
その中を遊泳出来る透明なカプセル。
咲き乱れる桜の群生。
基底湖を望む温泉旅館。
屋台が立ち並ぶ華やかな祭。
見方によっては、全て不要と切り捨てても良い筈のものたち。
それでも、この船を生み出した人々は理解していたのだろう。
人類の存続の為には、"心の満足"が必要不可欠だということを。

映画を、ありがとう!!

🎬鑑賞記録
①06.08 チネチッタ/LIVE ZOUND
②07.08 グランドシネマサンシャイン/Dolby Atmos
上映最終日に滑り込み。
競合他映画入り乱れる中、客入り上々。
腹に心地よく響く音玉の数々。
来るとわかっているにも関わらず、シドニアが流れた瞬間、両隣の男性と一緒に泣いてしまった…🥲笑
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