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眼には眼をのほーりーのレビュー・感想・評価

眼には眼を(1957年製作の映画)
4.4
恐るべき復讐劇を描いたアンドレ・カイヤット監督の傑作中の傑作。

非番の夜、シリア在住のフランス人医師(でも演じているのはドイツ人のクルト・ユルゲンスという複雑さ!)はゆっくりと自宅でくつろいでいた。

そこに1台の車が到着し、自宅のベルが鳴る。妻が腹痛で苦しがっているので診て欲しいとの内容で、疲れていた彼はむげに断ってしまう。

男の車が出ていくのを窓から見届けた医師はそのまま眠りにつく。

あくる朝、出勤中の医師は道の路肩にあの車が乗り捨てられているのを見つける。

病院に着くと、当直だった医師から昨夜、子宮外妊娠の患者が夫に連れられて来たのだが死亡したことを告げられる。

病院へ向かう途中に車が故障して6キロの道を歩いてきたあげく、さらに当直医師が未熟だったために誤診してしまうという不運が重なったあげくの死だった。

主人公はあの時断らずに診てあげていればと脳裏によぎったが、自分だってどうしようも手だてがなかったと頭から振り払う。

だがそれを許せない男がひとりいた。妻を失った男(フォルコ・ルリ)は「目には目を歯には歯を」の報復律にのっとり医師への復讐を計画する。

灼熱の太陽の下、まさに蟻地獄のようにもがけばもがくほど深みにはまっていくユルゲンスの姿が悲惨である。

フォルコ・ルリの裏をかこうとするのだが、それが仇になりかえって追いつめられていく様が凄い。

今ではTSUTAYAの発掘良品でどこでも置いてある作品だけど、ちょいと昔は本当にレア中のレア作品だった。

もうつぶれたが江古田の日大近くに、ない映画がないぐらい品揃え豊富なレンタルビデオ店があったがそこでも置いて無かった。

で、店員さんに相談したところ系列店にありますということで、やっと観ることができたという思い出がある。

もうはじめて観たときは本当に感動しましたネ、映画の内容よりもこの映画を観ること自体に。

■映画 DATA==========================
監督:アンドレ・カイヤット
脚本:アンドレ・カイヤット/バエ・カッチャ
製作:アンドレ・ハーレイ・デ・フォンテーヌ
音楽:ルイギ
撮影:クリスチャン・マトラ
公開:1957年9月13日(仏)/1958年3月12日(日)
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