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もう終わりにしよう。のkaitoのレビュー・感想・評価

もう終わりにしよう。(2020年製作の映画)
3.8
『もう終わりにしよう。』

I can’t stop thinking of this movie.
ネタバレあり

映画『もう終わりにしよう』は、チャーリー・カウフマンが監督・脚本を務めたネットフリックスオリジナル作品である。個人的には彼が脚本を務めた『エターナル・サンシャイン』は好きで、監督も務めた『アノマリサ』も非常に興味深い世界観が描かれた作品であった。どちらも大好きな映画である。

映画の表面的な話からする。やはり撮影が興味深い。独創性を漂わせるためのカットかと思いきや、しっかり意味のある映画の脚本に沿ったカットばかりでカウフマンは天才であることに気付かされる。実家の階段はシンプルに視覚的に面白く印象的だった一場面であった。演技面でいえば、特筆するほどの人はいなかった気がする。トニ・コレットはいい意味で不気味な母親役を演じていて、映画の中で最もインパクトのあったキャラクターだった。インパクトを残すと言えば、『ヘレディタリー/継承』でもそうだった。

主に会話ベースの映画だった。会話内容に惹かれることが少なくて、そこは少し残念ではあったが映画を解く鍵が映画の会話に隠されていたのは確かである。「もう終わりにしよう」という一言が、映画を観る前と観終えたあとで受け取り方が違うのも非常に面白いなと思える点だった。主人公だと思っていた女性も、学校清掃員の妄想の中で作りあげられた女性であることに気付かされ、「もう終わりにしよう。」と連呼していた女性の発言は、清掃員の彼自身が発していたことになる。妄想を なのか 人生を なのかは明確ではないが、映画のラストでは彼が死んだことをほのめかすカットがある。おそらく「妄想」を包括する意で「もう人生を終わりにしよう」なのかと思う。非常にやるせない気持ちになる。妄想する人間という面白い部分を面白い角度から切り取った作品で独創性溢れることは間違いない。テーマが非常に人間の核を突いたような作品で、哲学的でもあるように感じる。恥ずかしくて言えないだけで、共感できる部分も多い。チャーリー・カウフマンを改めて偉大だと思える秀作だった。

少し長く感じてしまったためもう少し短くしても良かったかな。と中身のない感想をつらつら書いていたことに気づく。汗
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