たく

もう終わりにしよう。のたくのレビュー・感想・評価

もう終わりにしよう。(2020年製作の映画)
3.8
チャーリー・カウフマンといえばなんたって「脳内ニューヨーク」のイメージで、観る前から構えちゃうよね。観終わってやっぱり何だこれは?ってなるんだけど、描き方は「脳内ニューヨーク」と似てて、すべてが老人の脳内で起きてる走馬灯系の話‥かも(適当)。
映像がスタンダードサイズなのは老人目線を表してるんだと思った。
ジェイクとの恋人関係を終わりにしたいルーシーが彼の実家へドライブする車中の延々と続く会話に始まり、実家に着いて彼の両親との奇妙なやりとりからの不条理な展開に混乱する。時々さしはさまれる学校の老いた用務員の場面だけが現実で、あとは全部この用務員の「終わりにする」までの妄想かな。

冒頭でちらっと写るフリードリヒの絵、ゼメキスの架空(?)の映画からエンドクレジットで本編が終わりそうになる演出、ルーシーが「こわれゆく女」を熱弁するくだり、レイプの歌など、何かを暗示してるようなしてないような演出にモヤモヤする。冒頭で「思考こそ真実」っていうデカルトみたいな話が出るかと思えば、中盤でエマーソンの「行動こそ真実」っていう逆の話が出てきたり。「骨の犬」やルーシーの風景画がおそらくルーシーとジェイクが同一人物ということを暗示してて、二人のかみ合わない会話は用務員の脳内で展開する葛藤の象徴なんだろうなと思った。
終盤の学校でのあっと驚く演出から最後のインチキ老けメイクに呆気に取られて、全編ずっと降ってた雪が最後の最後に止んで青空になる。これはやっと終わりにできたってことだね。

トニ・コレットの老若の演じ分けがすごかったのと、「ジュディ」「ワイルド・ローズ」で売れてきたジェシー・バックリーが上手かった。
車の道中から授賞式に至る展開を含めてある意味ベルイマンの「野いちご」かもしれないね。