Ryoma

アジアの天使のRyomaのレビュー・感想・評価

アジアの天使(2021年製作の映画)
4.6
異文化相互理解“を主軸に、家族や人との繋がり、日々を懸命に生きていく中での生きづらさや歯痒さが描かれていた。
しっかり者で誠実な池松壮亮さんと飄々とした能天気なオダギリジョーさんの少し噛み合わないような会話が面白く、何気ない他愛のない会話や小気味よい掛け合いはまさに本当の兄弟のようでなんか微笑ましかった。
誰もが悲しみと苦しさと後悔を抱えながら生きていて、それでもなおそれらを背負って生きていかなければいけないんだなと。また、何が起こるか誰にも分からないのが人生。想像しないほどの絶望もそして、思いがけない幸運も。
日本人と韓国人。互いに言葉は通じないんだけれど、英語で片言でも伝えようとする様は思いやりが感じられてなんかいいな。お互い伝わらないからこそ、自分の母語で弱音を吐いたり相手を称賛し合う様子からは、同じ国籍の人同士では普段あまり露呈しないであろう本音の感情が窺えて素敵だった。

今もなお決して良好とは言えず暗雲が立ち込めている日韓関係。今月の16日、日本で親日派と言われている韓国のユン・ソンニョル大統領との首脳会談が開かれたばかりで、まだまだ問題は山積みだけれど、少しは前に進んでいるのかな。そう思いたい。

言葉も文化も超えて、心が通じ合えることって本当に素敵だなと改めて。食事のシーンも最高だった。
本作を経て、池松壮亮さんの演技は好きだなと改めて思ったし、様々な家族の形・愛の形を一貫して描いてきた石井裕也監督もより好きになった。
Ryoma

Ryoma