ショウコ

ウルフウォーカーのショウコのレビュー・感想・評価

ウルフウォーカー(2020年製作の映画)
3.7
感激ですよ。かつてここまでニオイに向き合ったアニメがあっただろうか?いや無い!
「気体に色をつけてニオイを可視化する」という手法はベタっちゃベタですがそれを"野生のケモノ臭"でやりますか!これは良い挑戦👏👏

オオカミの視点になれる…って事でもうVR映画です🕶人間の100万倍の聴覚と、一億倍も鋭い嗅覚を持つ犬はきっと毎日大変だろうなーっていつも不憫に思ってましたけど確かにこんな感覚なのかも知れない。そりゃ我々人類が視ている光景と同じなワケが無いですよね。音は空気の振動となって視覚以上の情報をもたらし、遠く離れた場所から発せられるニオイも彼等の鼻なら余裕でトレース出来てしまう…。表現は「レミーのおいしいレストラン」を超えたと思う!

ウルフウォーカーは「幽体離脱でオオカミ化できる術者」を指すらしい。夢遊病の人をスリープウォーカーって呼ぶのに因んでるんでしょうか🤔でもオオカミにはちゃんと実体があり、オオカミの時に攻撃を受ければ本体にもダメージが入るしその逆もしかり。そして本体に戻れなければオオカミ状態のまま彷徨う事になる…。強みと弱点のバランスはちょっとしたスタンド能力(ジョジョ)みたいです

物語のつくりは「第9地区」とほぼ同じ。森を拓きたい人間達にとってオオカミは邪魔な敵であり、オオカミにとって人間は棲家を奪う侵略者である。主人公の少女はウルフウォーカーの能力を得た事でオオカミの立場と気持ちを知る…。テーマは多重的ではあれど、基本は記号的な悪役が出てきちゃう勧善懲悪モノ。どこまでも先が読める




最大の特徴の「絵」なんですがまるでヘタウマ現代アートの様です。まんが日本むかし話にこんなタッチの話があったような無かったような。でもしっかりコンセプトが貫かれてるし民族楽器を使ったthe corrsっぽい劇伴も超カッコいい!構図がかなり思い切ってディフォルメされており、人間の住む町はカクカクだしパースが支離滅裂でドラクエのマップみたいになってる。対して自然描写は流線が美しくまさにフリーダム!って感じ。この落差がホントに気持ちいい✨日本人にはマネできないやつだわ

犬や鳥を飼った事がある方にはたまんないと思う。あとケモナー紳士淑女にも推したい映画です

欲を言えばエンドロールに出てくる壁画みたいな絵でやって欲しかったな。あれカッコ良すぎません?
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