ミシンそば

ウルフウォーカーのミシンそばのレビュー・感想・評価

ウルフウォーカー(2020年製作の映画)
3.9
マクベスがどうしても観たくて、止む無くアップルtvに加入して鑑賞。
この作品も去年から気になっていただけあり、観ることに何の躊躇いも湧かなかったし、非常に素晴らしい作品だと思う。
(Apple TVのサブスクとしての完成度の低さ、マーケティングのやる気のなさ等の、作品評価に影響しない不満こそ多いが)。

アニメが子供向けという意識の強い欧米で、ここまで女の子の心を曇らせ、苦しませる描写の続く作品って結構珍しいのでは?
カートゥーン的なキャラ造形こそしているが、表情は非常に豊かで作画も、撮影も迫力満点。
2020年に数多く作られ、そしてその多くが名作だった分断への警鐘作品としては、間違いなく上位だろう。
護国卿(時代背景的に、史実準拠こそしていないがクロムウェルのことだろう)の悪役としての下衆さ、不快さなんかは非常に完成されていた(散り際も良し)。

ロビンがメーヴと出会う前から、支配者たるイングランド人と被支配者のアイルランド人との間に、分断はすでに見えるし、民族で区切らずとも宗教やイデオロギーなんかで分断の傷は容易に広がるし、子供に酷な選択を迫る結果も招来させるところなんかは結構怖い。
でもあそこまで曇ってからの、ちゃんと晴れやかな気持ちで終わってくれる物語だから、観終わった後の爽快感は言葉にしがたいほどに強く胸を打ち鳴らす。
…できれば他のサブスクかソフトでもう一度観たい。