えにし

ショック・ドゥ・フューチャーのえにしのレビュー・感想・評価

3.5
ストーリーはあってないようなものだし、「音楽やったことある人あるある」しか言ってないので観る人によってはすごく退屈かもしれない。けれど、俺がその「音楽やったことある人」なので、当然そのあるあるもわかりすぎて首がもげそうな勢いで頷いていた。自分の頭の中では大ヒット間違いなしのアイデアが浮かんでいるけど、アウトプットできないだけなんだ、って言ったり、いざ曲ができても権力のあるおっさんにダメ出しされただけで自信をなくしたり、なんて身に覚えがありすぎる。でもそもそも音楽やってる理由なんて、この曲いいじゃん、俺(わたし)もやりたい!って単純なものがはじまりの人が多いと思う。だから、あんなえらそうなヤツに否定されたからってなんだよ、アイツの好みに合わなかっただけだろ、君の音楽のファンは必ずいるよ、って言ってくれた男友達がいいヤツすぎて泣きそうになる。「人生で大事なのは転んだ回数より起き上がる回数の方だ」なんてめちゃくちゃクサい台詞も、普段の俺ならケッ!て言ってシカトするところなんだけど、やさしい気分になっていたところだったからスッと耳に入って自然となじんだ。そういうわけで、万人にウケるわけじゃないけど、音楽に限らず、芸術や創作活動の経験がある人には漏れなく刺さる内容だったんじゃないかと思う。それにしてもあんなデカい機材をたくさん使わなきゃできないような音楽が、今じゃ机一個の上だけで完結するってのは恵まれてるよな、CR-78も偉大だけどDAWが当たり前に浸透しているのが感慨深い。
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