みーやん

ショック・ドゥ・フューチャーのみーやんのレビュー・感想・評価

3.5
同じ名前ってそんなにあるもんかなーと思ってたらやっぱり主演のアルマホドロフスキーって映画監督のホドロフスキーの孫なんですね。今作の内容にそれが何か反映されているっていうわけではないですけど。

さて本作、音楽にまつわる青春映画っていうとなんとなく「電子音楽と出会う→電子音楽を作る→紆余曲折→何らかの評価を得る」っていう双六的ストーリー展開を無意識のうちに想定してしまう(挫折だドラッグだっていうアンハッピーな要素を含む暗いものもあるけど、今作は予告の感じではそっちではないなと)けど、全然そういったよくある構成と違ってました。自分はそれでも面白かったですけど思ってたのと違うとか拍子抜けとかいう人がいてもそりゃそうだよねって気はします。とあるミュージシャンの一日をまるっと切り取ってきてポンと置いたようなお話しでした。だからこそ生まれる余韻というか切れ味というか、そういうのも魅力でしょうね。作中で作られる曲も短くてまだ100%仕上がったかどうかっていうものですが、この作品じたいがこの曲の立ち位置をそのまま再構成してみせているのかもしれません。だからこそのフレッシュさなんでしょう。

自分も音楽ちょっとやってるもののこの作品のような電子サウンド100%ではないのですが、それでも音楽ができあがっていくところは興奮するし自分に対するすごく良い刺激になりました。あと主人公をめぐるコミュニティの年齢層がだいぶ広くて初老というかそのさらにちょい上ぐらいの世代でも新しい音楽を探求してる人たちと主人公たちとがごくフラットにシーンを共有していて、そういうのもすごくいいなと思いました。俺ももう主人公らへんの世代に感情移入ばっかりしてられないっていうトシになったってことやろなー。

公開館数の限られる作品かもしれませんが、配信などで観れる機会があれば音楽とか表現の新しいあり方みたいなのに関心ある人(作り手でなくてただ聴いたり見たり読んだりする側であっても)ならぜひ観てほしいところです。その際、画面はまぁご家庭サイズだとしても音はヘッドホンでお願いします!
みーやん

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