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The Recorder Exam(英題)のsonozyのレビュー・感想・評価

The Recorder Exam(英題)(2011年製作の映画)
4.0
キム・ボラ監督による『はちどり』の前日譚となる短編。

ソウルオリンピック開催中の1988年。
9歳の小学生ウニは、唐辛子の挽き売りをしている両親、兄(小学生の高学年か中学生?)、姉(中学生か高校生?)と暮らしている。

父はいつも子供たちに学業のプレッシャーを与えているが、愛人がおり、母はそのせいで暗く、子供にも冷たい態度。

兄だけが個室を与えられているが、支配的で時にウニに暴力を振るっている。
ウニは姉の部屋の片隅に座ったり、姉が彼氏連れて帰ると洋服ダンスの中で寝たり、安心出来る居場所はない。

学校で唯一の仲良しハンナの家に行った時、優しいお母さんがドアをノックして入ってきてフルーツやお菓子を持ってきてくれることに驚くウニ。

リコーダー(縦笛)のテストに向けて練習するウニは、うまく音がでない古いおさがりでなく新しいリコーダーが欲しくて、Aを取った成績を見せ、父に買って欲しいと頼もうとするのだが...

父は無愛想で学業のことで怒鳴りはするが手を上げるようなことはなく、毎朝3人の子とジョギングを欠かさない。
会話はほぼ無いが食卓は家族全員で囲んでいて、家庭崩壊しているわけではない。
父の女性問題で不仲な両親だが、それぞれ不器用ながらウニへの愛情も垣間見せる。
そんな家庭のウニの心情を繊細に捉えた作品。
やはりこの女性監督、素晴らしいですね。
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