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The Recorder Exam(英題)のtetsuのレビュー・感想・評価

The Recorder Exam(英題)(2011年製作の映画)
3.7
『はちどり』の予習として、貴重な映画を毎日配信する動画サイト"MUBI"での期間限定配信で鑑賞。


[あらすじ]

1988年、韓国。
家族に邪険に扱われ、疎外感を抱く小学生のユニ。
学校の授業でリコーダーのテストを受けることになった彼女の、本番までの数日間の物語。


[感想]

リコーダーの練習で一部の音が上手く出ず、友達が持っているリコーダーを親にねだるものの、拒否されてしまう主人公。

勉強一筋の兄や恋人といちゃつく姉、身勝手な父に抱え込みがちな母と、本来ならば可愛がられることの多い末っ子が、終始、窮屈な家庭環境で不安を抱え込む展開が切なかったです。

また、制作した時代を感じさせる画質や色合いには、独特の「懐かしさ」や「温かさ」も感じました。

近年の韓国映画は色調が暗かったり、コントラストの濃さが目立つシャープな映像が多い印象ですが、本作は、建物や人物の服装・持ち物に明るい色が多く、そこが、かなり好きでした。

後に『はちどり』を観ると、本作と物語が繋がっているため、「少女の鬱々とした日常描写」は共通していながらも、微かな光が差し込む展開に救われました。


[体験談]

小学生の頃、音楽会の楽器を決めるオーディションがあって、ピアノも弾けないのにアコーディオンを選び、練習も怠った結果、みんなの前で大恥をかいた思い出が蘇りました。
今でも、あれ、かなりのトラウマなんですけど……。泣


[最後に]

『はちどり』を観た方には、ぜひ、観てほしい前日譚となる本作。

現在は、MUBIでの日本配信は終了しているようですが、映画がソフト化される際には、ぜひ、特典映像として収録してほしい幻の名作短編でした。


参考
The Recorder Exam - Trailer
https://youtu.be/HcaBTq7SJ7U
(こちらは本作の予告編。何となく、雰囲気が掴めるのではと……。)
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