ポンコツ娘萌え萌え同盟

Die Pest in Florenz(原題)のポンコツ娘萌え萌え同盟のレビュー・感想・評価

Die Pest in Florenz(原題)(1919年製作の映画)
3.4
現代人からしてみればメダルダスの行った償いは正直受け入れが難い。しかもコロナ禍を通した現代だから尚更だ。
しかし本作の当時の評判もどうだろう?本作はタイトルにもある通り、内容の一部にペストを含んでいる。罪と罰、愛と性、ソドムとゴモラなど所々キリスト教的内容が反映された内容自体はまあ見どころはある。
とはいえ本作は1919年の作品だ。そう、スペインかぜの流行が真っ只中で世界に混乱が渦巻いた時期でもある。疫病を扱っている本作だからこそスペインかぜの存在は絶対無視はできないはず。
そんな時期に公開された本作は当時の人々は最後のメダルダスの行動はどう映えただろうか?
それは公開当時の人しかわからない。

愛の女神かそれとも悪魔か、見た誰もが引き寄せれる絶世の美貌を持つジュディによって、愛と官能と欲望に渦巻いた町へと変革していったフィレンツェへの神の怒りと裁きだと思うだろうか?
私はキリスト教者ではないが、神の怒りはわからんでなくても、しかし審判を下しあの裁き方は本作は当時の世では果たして受け入れられたのだろうか。そこが不思議な作品だ。

映像自体は中盤からの合成の使用で見ごたえある。また隠者だったころのメダルダスと美しいアフロディーテのようなジュディの黒衣の服の白い服の女の対比はやはり絵になるだろう。中盤にあった地獄のような世界も中々面白い。
ただ、それ以上に終盤にあるペストによる死骸が至る所に画面に映っているのが強烈でいやでも記憶に残る。あとはペストの擬人化、疫病とイメージを具現化したのが印象に残る。ペストはバイオリンを弾くように死を招く、まさに死神のようだ