このレビューはネタバレを含みます
精神分裂病と一括りにされていた統合失調症、
この病名が使用される様になったのも、この20年程で、まだまだ原因や、治療が不明の精神疾患です。
多くの統合失調症の方々を診察の段階で関わる事はあったが、彼らの頭の中を映像で描かれた今作、
もっと早く観たかった。
精神疾患は本人が興味のある、好きな事に集中している瞬間は症状が出ないことが多いと知られている。
誰しも好きな事をしている時は幸せな気持ちになれる、その瞬間に集中出来ない何かが彼らにはあるのだ。
母親を責める事はできないが、ポール(母親の彼氏)との同居はいかがなものかと、
私が母親であったなら息子を優先するであろうと思うから・・・
母親はアダムが胎児の時点でかなりのストレスがかかっていたのではないか?
統合失調症の原因のひとつとして、妊娠中のストレスは統計として確率が高いと言われている。
穏やかな妊娠、出産、育児ができない環境だった可能性も考えられるのは、アダムの症状が顕著に現れた時、父親が家族を捨てて出て行く場面があるからだ。
今作でも、家庭環境で辛い経験をしなくてはならないアダムを見ていて心が締め付けられた。
大好きな料理、大好きな女の子と過ごすシーンは笑顔で幸せそうで
薬の副作用に苦しむアダム、薬を飲まないで苦しむアダム、
繊細で傷つきやすくて
思いっきり抱きしめてあげたくなった。
心を救うと言う意味での宗教観。
アダムの宗教観はとても彼らしくて好きだ。
アンディ・ガルシア演じる神父とアダムが対峙する場面がとても印象的。
告解に対してのアダムの考えにとても共感したからだ。
「罪を犯したと落ち込めば善人になれるのか?」とアダムが訴える。
私もそこが疑問だった、アダムの苦悩は告解なんてしないから
神が救えるはずなんてないから
施設での食堂、
The Chainsmokers
"If Walls Could Talk"が流れ出した途端に号泣。
やばい、ここでこの曲が流れることを知らなかった・・・
食にこだわりのあるアダム
料理が大好きな彼の前に出された病院食が・・・悲し過ぎる場面だ
人間不信に陥ると被害妄想が強くなる、簡単に誰しもが陥る瞬間があると私は思う。
心から信じれる誰かと出会い、心を許しあえることがアダムに取っての最良の治療薬なんだ。
チャーリー・プラマーは『荒野にて』で初めて知った。
繊細な気持ちを表現する演技がとても素晴らしい俳優さんだ、荒野にての時より身長も高くなっていて青年なっているチャーリーが見れて嬉しかった。
そして、テイラー・ラッセルちゃん、なんか「WAVES 』の時よりもかなり美しくて驚いた。
この二人の若い俳優さんはこの先とても楽しみ🥰
音楽や映像のセンスが最高で脚本がとても良い、言葉のひとつひとつが心にスッと入り込む素敵な作品です。