名も無い日の作品情報・感想・評価

「名も無い日」に投稿された感想・評価

ライブビューイング舞台挨拶付上映

達也がカメラを向けたあの壁には何がかかっていたっけ。感情が先に動いたので、見落としたものがたくさんあるかもしれない。
「なぁ…命日はいつになるんだ?」

「名も無い日」鑑賞。

名古屋市熱田区で生まれ育った達也・章人・隆史の3兄弟。自由奔放な兄、達也はニューヨークで写真家として多忙な日を過ごしていたが、突然弟・章人の訃報を受けて地元に帰ってきた。自ら破滅へと向かう選択をした章人に何があったのか?
カメラを手にして地元を巡る達也は家族や周りの人々の足跡を辿り、思いに触れる…そしていつものようにシャッターを切ろうとするが…。

長男の達也を永瀬正敏、次男の章人をオダギリジョー、三男の隆史を金子ノブアキが演じる…もうこのキャストだけで観ない選択肢は無い。
永瀬正敏は派手な作風には合わないけど本当の意味で日本を代表する男優だと思う。
こういったどこかしら含みを持たせる作品には圧倒的な存在感を見せてくれる。
そしてオダギリジョーとの絡みは静かで青白い火花が見えた。世代こそ違うが、俳優として近い系譜の二人の共演シーンは目が離せなかった。

達也の葛藤…それは章人の優しい本質を知っているからこそのものであり、知っていながら目を背けた自身への後悔がシャッターを切らせない。言葉に出来ない葛藤を隆史が口にしてくれることで達也は救われているが、時間は戻らないし現実は変わらない。
映画のタイトルは「これはどこにでも起こりえる物語」としてのものなんだろう。

説明じみたところがほとんど無いまま緩やかに事実が繋がっていく構成なので、あまり映画馴れしていない人は戸惑うかもしれないが、小津作品や数多の欧州作品のような行間を読む雰囲気があり、日比遊一監督がもともとは写真家であったことを知ると腹落ちする。
ヴィム・ヴェンダースとアレックス・コックスが絶賛のコメントを寄せているのも納得。
重苦しいテーマの作品だけど、この二人の監督の琴線には触れるだろうなと思う。
答えのない重たいテーマ。お祭りのシーンを介して過去と現在を行き来し、回想と後悔とが入り混じり、重苦しさで息が詰まった。お祭りのシーンがファンタジックに美しく、映画ならではだと感じた。心が健康な状態の時に観る方が良いと感じた。
あの時ああしていれば失わなかったのに。を背負う日々の苦しみを激しく搔き立てられました。
手を出して、取り合うことを怖がりがちな自分…

兄弟模様も感じ入るものがあります。
1人と2人、てのが大きく違うのと同じくらい、
2人兄弟/3人兄弟、でも事情が変わるなあ、なんて。

出てくる人数が多く感じて、記憶に残る画とか要素もたくさん出てきて頭の中ごちゃつき気味で進み。
時系列も整理しながら。脳が勝手にやっちゃうから不思議。

それはそれで素敵。生活ってそういうものですよね。
実際の所一本の線にまとまるわけじゃない。
まとめてしまいたくなるけれど。
いろーんな景色の集合体。

ごみ収集、ニューヨーク、写真、失明、新聞紙、光、花火、提灯、受け継ぐこと、狐のお面。
意味を見出したいような、あのまま画として受け止めて良いような。

音楽の入れ方、切り方はしっくり来ず。
全然素人なのでどこがどう、って言えないけど…
*実話が基なのですね、ふむふむ…
ゲル

ゲルの感想・評価

3.2
冠婚葬祭は親戚が集まるから、何かと波乱が巻き起こりがち。
この作品はそういう感じではなく、静かに現実を映し出していた。
友人の子供にあんなことを言われたら、泣いてしまうだろうな。
誰かの心情を深く掘り下げた描き方ではないから、感情移入はできなかったけれど、日比監督自身が前に進むための大切な作品なのだろう。
章人は、セルフネグレクトの末の……という印象を受けた。
行政の力を借りるとか、彼を救う手立てはあったのかもしれない。
日比監督もさぞ悔しかっただろうと想像する。
狐面の少年のファンタジックなシーンだけは謎だったけれど、光をとらえた映像や墓地の空撮等印象的な画が多く、写真集を見ているようだった。
監督の実話。人はいつ壊れてしまうか居なくなってしまうかわからない。家族も同じ。命日はそれぞれの心の中に。写真家でもある永瀬さんが長男を演じる説得力があった。
kiita

kiitaの感想・評価

3.6

このレビューはネタバレを含みます

監督ティーチイン付き上映会にて

きちんと向き合ってこそ
次の一歩が踏み出せる
そう思うことが出来るようになる作品

監督の実話を
監督自ら解説して下さったので
初回鑑賞ながらも
色々なモチーフが繋がり
理解が深まった

死ぬのは最後
あの手紙に光を見て

「あの子はあの子のもらった命を生きた
それでええ」
おばあちゃんの言葉通り
あっくんは自らの人生を全うしたんだよね

ラストの永瀬さんの表情がたまらない
あれがあったからこそ、そう思えた

いくつか監督から頂いたネタバレ
もう一度観る時ポイント

家に入る時の心臓音は
本当に永瀬さんの心臓の音を使った
↑あれは、演出効果抜群に引き込まれました

涙=清める
今井美樹さん、永瀬さん、金子くん、
雨のシーン

花火で囲まれてた自転車
棺をイメージ

弟が話していた
あっくんの自転車で
学校に行ってた話から
主人公の頭の中の罪悪感を表現

ゴミ収集車
実は3回あったのを2回にした
3回はしつこいかなと削った
一つ一つ片付いて行く
解決して行く 
という区切りを表現したつもり

ドローンシーンはNYを表現したつもり

熱田区、ロケ地を知ってる人には
是非観て欲しい
長男、三男、唇の薄さが似ているな、と思って観ていた。
ここ

ここの感想・評価

3.9

このレビューはネタバレを含みます

上映後舞台挨拶で鑑賞。
監督の家族の実話。
これを映画化するには勇気がいるだろうな。
実際暮らしていた家を使っての撮影だったとのこと。
それにしても、章人が辛すぎる。
予兆というか、もうやばかったので、なんとかしてあげてよって心の中で叫びつつ観ていた。私が思う位だから監督本人はどれだけ悔やんだろうかと思う。でも海外での仕事を辞めるわけにもいかないし、難しい。
最後に章人さんの本物の直筆メモが出てきて、泣けた。
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