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ボヤンシー 眼差しの向こうにのsnatchのレビュー・感想・評価

3.8
……言葉が出てきません
大好きなカンボジアが出てくるし、この美しい写真にも魅かれ観たのですが… 内容を知らずに観始めたので苦しくなってきて、あの海の、映画の裂け目に底無しに堕ちていくようでした。悪夢であって欲しかった。現実は本当に永遠なのかと思うと気がおかしくなる。

輝く海原を走る一艘の漁船。
その大量に獲れる雑魚がペットフードになるという現実。
オーストラリア人の監督が長年、東南アジアの貧困問題 搾取される強制労働の実態を取材して、貧しい国からブローカーに騙され、信じられない事実だが、船上で一生働かされることになるカンボジア人ら現代の奴隷制をフィクションにしたデビュー作だそうです。

14歳の主人公を演じた少年の幼く優しかった眼差しが鋭い眼光へと変化していきます。
「異端の鳥」の少年が重なりました。実写化みたいにも思えた。

演技?演技とは思えない。もう凄いです。
本当にみんな気が狂っていく、悪い奴らのボスを演じた役者の凄み。人の一生を何だと思っているんだと憤りを彼にぶつけたくなる。少年の一生を滅茶苦茶にして、少年はどうやって、これからの長い人生を生きていくのだろう…
でも、あのボスも主人公と、かつては同じ目をした少年だったのだろうとも感じました。

鑑賞数時間後…やっと観てよかったんだという気持ちが少しずつ湧いてきた。これは、今、まさに起きていることだから。
この映画が公開されたことで、何か変化が起きることを願います。
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