Nasagi

海辺の彼女たちのNasagiのネタバレレビュー・内容・結末

海辺の彼女たち(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

リアリズムというか、淡々としてる感じ。
おそらく北海道?の港町の雪景色がきれい、だけど現実は残酷である。
最後のシーンの波の音が印象的。顔のアップが多く、3人の表情をよく捉えている。

いわゆる「技能実習生の劣悪な労働環境」的な話は、序盤で「脱走してきた企業への愚痴」としてササっとすませてしまい、その後はすぐに物語の世界に入って行く。もちろん十分ひどい待遇だが、元実習生を待ち構えている「劣悪な実態を告発」系の内容とはすこし違う。

「海辺の彼女たち」というタイトルにもあらわれている通り、彼女たちに共感しつつも、そこに一体化するわけではなく、他者として見つめる目線がある。
また、いまもどこかの海辺に彼女たちが存在する」という想像力も喚起させられる。彼女たちが仕分けているこの魚、じぶんが普段食べているやつかもしれないな、と思わせる力がある。

在留カード、(銀行カード)、保険証というカードを持っているかどうかが明暗を分ける。それらはある種の「資格」の象徴であり、たとえ偽物の証明だとしても、それを持っていないと社会のシステムから排除されるし、そのカードを手に入れる過程での搾取もおきる。
カードを取り上げられたフォンは、それと同時に子を産む権利も取り上げられる。
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