海辺の彼女たちの作品情報・感想・評価

「海辺の彼女たち」に投稿された感想・評価

Garu

Garuの感想・評価

4.0
内容も映画としてもどう捉えるか

労働環境や人種問題などの話かと思ってたらちょっと違った。
物語は素敵な話ではないのだが、その少しのズレで人の心に深く潜り込む物語となっていた。

あまり出てこない日本人。これがまた面白い。だから緩急があって、病院の先生の医師としての真摯な対応にフォンちゃんと同じ気持ちになる。

結局本作はなにが言いたいのかと考えればよく分からないかもしれない。もっと直線的にこの問題を描くのならわかる。
けどそこに突っ込まないのにもきっと意味があると思うし、見るべきはある条件と重なった人間の感情みたいなものなのかと。

タイトル出るところカッコいいし、あったか汁飲むシーンとか他にもいくつか素晴らしいカットがあった。
面白いテーマを見つけたとは思う。ただ、そのテーマが映画としての面白みに繋がっていないのだ。
技術陣も役者陣もいい。しかし、脚本ができていない。舞台挨拶で、アドリブ的に演出をしていたと話していたが、それが迷いに陥り映画的に大切なものを見失ったようにおもえる。
アドリブ的な演出も編集で構成を変えるのも、監督独自の手法だから強く否定はできない。しかし、完成した作品が上手くできていなかったら……やっぱり自分は、脚本こそ映画だと思ってしまう。
 何が起こるかわからない緊張感と、どう悪化するかという不安がずっと続くので、100分程度の上映時間だが疲れはあった。
 この映画の公開が5月1日で、5月25日に新潟県で「技能実習生のベトナム人6人保護」というニュースがあった。
 報じた『新潟日報』の記事によると「厚生労働省によると、技能実習生は2020年10月末時点で全国で40万2356人。」だという。
 新潟の件では残業が160時間になったり、時給500円のこともあったという。同一労働同一賃金ではないのか。
 何よりも、実習生をやめる(失踪する)と「不法就労」になり人権が保障されなくなるので、身分もなく、従って医療保険も受けられず、公共サービスが享受できない。
 劇伴音楽もなく、長回しによる映像は重々しく、心に訴えてくる。
 監督の周囲で見聞きしたこと、インタビューしたことを映画にしたので、実に真に迫っている。

 日本人でない者に冷たいということは、日本人にも冷たいということだ。その現実も感じた。
dropbeat

dropbeatの感想・評価

4.0
山程言いたいことはあるけど、多くを語らず淡々と話が進んで行く感じがいい。ラストシーンで涙が止まりませんでした。
後あらすじとみんなの感想はなるべく見ない方がいいです。
しー

しーの感想・評価

3.7
日本最古の映画館、
高田世界館にて。
帰り道近所の小さなベトナム料理店に入ってた
話が聞きたいと思ったから
知れた、学べた。映画にしてもらうとよくわかるし気持ちに焼き付く。観ていてキツかった。
3人という設定もよかった。

耐えられるギリギリまでは同じ宿命のお互いを助けたい、心底心細く友情はあったんだと思う。
例え我が身を守るためであっても。

彼女たちのその後も作品にして欲しい。
あの先どうなるのか。産科のシーン、女医さん良かった。
技能実習の過酷な労働環境から脱走し、ブローカーを頼って雪深い港町で不法就労を始めた三人のベトナム人女性、アンとニューとフォン。
タイトルこそ「彼女たち」となっているが、実質的な主人公はフォン一人。「彼女たち」とはこの三人ではなく、同じような境遇の人々総てを指しているのだろうか。

本作単体で観た場合、社会派の問題作として評価に値するかもしれない。
しかし、この作品の設定や主人公の境遇、ストーリー展開、印象的な長回しの多用など幾つもの点で、あるアジア映画を想起させる事が自分は引っ掛かった。
その映画とは、2018年第19回東京フィルメックスで最優秀作品賞を受賞し、その後2020年のキノフェスティバルで限定公開されたカザフスタン映画『アイカ』。主演のサマル・ エスリャーモヴァは2018年のカンヌ映画祭最優秀女優賞を受賞している。

偶然の相似と言えばそれまでだが、自分は黒に近いグレーだと思っているので最大限好意的に評価してもこのスコアが限界。でもって、件の『アイカ』の方は紛れもない傑作にして衝撃作。なぜ一般公開しなかったのか不思議でならない。

アイカ予告編
https://youtu.be/PsKZzGWvJW4
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