髙橋佑弥

ジャン・ドゥーシェ、ある映画批評家の肖像の髙橋佑弥のレビュー・感想・評価

3.0
映画単体としては御世辞にも良い出来とは言えないが、稀有な"映画批評家"題材ドキュメンタリーとして意義は大きい(日本で誰か蓮實重彦の映画作らなくて良いのですかね)。上映そのものというよりも、見ながら色々考えたり、見終えた後の鼎談トーク(岡田秀則×廣瀬純×須藤健太郎)の面白さに価値がある。劇中では、擬似親子関係にあったというボーヴォワ証言が白眉。L'Art d'aimer 邦訳望む。

「つまりは、映画を犠牲にして、自分自身や主義主張(たとえそれがどれほど高邁なものであったとしても)を大きく見せようとするのは、根っからの知的不誠実さの表れである」byドゥーシェ
…個人的に最近よく考えることと近いので書いておく。

ドゥ「バルネットを見たことはあるか?」
若者「ないです」
ドゥ「ゴダールも新作で引用している…見ればすぐにわかるよ。ともあれ、まずは見なくちゃな」
…のやりとりには笑った。

2020/07/19
髙橋佑弥

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