つエ

ノマドランドのつエのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
4.3
車で寝起きし、アマゾンの倉庫などで季節労働をしながらアメリカ大陸の各地を遍歴する"ノマド"の主人公・ファーンの一年

個人の力ではどうしようもないような産業構造の変化や、その影響から人々を守るべき公助の不足など、家を持たずに放浪する人々を生む社会的背景についても一応言及されていて、現実に"ノマド"の暮らしをしている人達が本人として登場しドキュメンタリー的側面もあるけれども、劇映画としての今作の主題はあくまで彼らの内面を映すことにある

"ノマド"達が通り過ぎ或いは車を停めて仮の宿とするアメリカ各地の荒涼・峻厳とした自然と台詞に頼らず彼らの内面に迫ろうとする表情へのクローズアップとの対峙・対比に、物質的豊かさのみには決して還元され得ないようなひととしての尊厳が立ち現れ、スクリーンへの確かな吸引力になっている

自然と人間、虚と実を一身で繋いで全く隙がないというフランシス・マクドーマンドの存在感、圧倒的という他ない
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