くう

ノマドランドのくうのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
3.8
ノマド生活への憧れを持つ者は、この映画を見て自由の楽しさと厳しさを同時に知ればいいと思う。…と言ってしまうほどリアル。

寒さ熱さ排泄、期間労働の厳しさ…物語というよりもドキュメンタリーの趣。それでも定住できないそれぞれの心情が切ない。

彼らはホームレスなのかハウスレスなのか。家のない生活はきっと自由だろう、と近年よく思う。けれどもそこに飛び込む勇気はない。

この生活が出来るのは自然を愛し、漂流する強さを持つ者だけ。

アメリカ各地の広大な自然だけに癒される。厳しいロードムービー。

他のユーザーの感想・評価

数年前話題になった同監督の「ライダー」を思わせる、静かだが、リアルで重みのある作品。

資本主義的な文明と、自然とつながり人間らしさを追求する放浪の生き方の対比を描きつつ、主人公が個人的に過去の喪失感や悲しみと折り合いをつけ、一つの区切りをつける過程を描いている。

素敵な映像と、素晴らしい音楽が、とても心地よく、"Into the Wild"にも通じるものがあるいい映画だった。
tottsun

tottsunの感想・評価

3.9
「ノマドランド」🎬30
アメリカ・ネバダ州に暮らす60代の女性ファーン(フランシス・マクドーマンド)は、リーマンショックによる企業の倒産で住み慣れた家を失ってしまう。彼女はキャンピングカーに荷物を積み込み、車上生活をしながら過酷な季節労働の現場を渡り歩くことを余儀なくされる。現代の「ノマド(遊牧民)」として一日一日を必死に乗り越え、その過程で出会うノマドたちと苦楽を共にし、ファーンは広大な西部をさすらう。
アカデミー賞ノミネートというだけでも気になるのに、予告の描き方がとても含みがあるように見えて気になって鑑賞しました。
NOMAD(ノマド)とは遊牧民を指す言葉らしいのですが、今ではヴァンやキャンピングカーで移動しながら暮らす人々のことだそう。
映画というよりかはノマドの人たちのドキュメンタリーを観てるみたいだなと思ったら…
観終わってエンドロール見てびっくり!
主演のフランシス・マクドーマンド意外基本は本当にノマドの人たち。
名前もみんなそのままで日本では作られないな…
だからこんなにリアルな世界が描けるんだな。
原作のノンフィクションの本を本当のノンフィクションの映像として描くという触れたことない感動があった。
美しい空や景色を背景にしてはいるけれど…車中泊をしながら生きていく人たちの過酷さもとても丁寧に描かれている。
生きるということはどこか孤独でありながらも人とのつながりを持ってして続けていけるものなんだなぁ。
こんな雰囲気の作品前にも観た気がするなんて思ったら、「イントゥ・ザ・ワイルド」を思い出した。
描く対象はちょっと違うかもだけど…自然の美しさとともに人間の生を描いてる。
みんな苦しみ、悩みながらも生きているんだ。
ファーンが焚き火に石を投げ入れた時なんだかゾワゾワっと鳥肌が立った。
フランシス・マクドーマンドが全てを曝け出して演じてると言っても過言ではない…
アカデミー賞に期待です!
私的には☆☆☆.9かな。
ue

ueの感想・評価

4.0
個としての存在感が凄まじいフランシス・マクドーマンドの孤独な佇まい。映像奥にまで広がる雄大な自然。そして、本物のノマド達とのコミュニケーションを通じて顕になる現代社会の実情は、映画に強烈な迄の説得力を齎す。生き方の選択、大自然に触れ「さよなら」がない人生だったとしても自分はあの生活をやる勇気出ないよ。だからこそ、それを追体験させてくれる、違う人生の方向性を見せてくれる映画ってすごい。ジャオ監督のカメラ、どこまでも真正だった。
Banana

Bananaの感想・評価

4.0
See you down the road

個人的、社会的になど理由はあれど、望まない形でノマドになる人がいなくなればいいなと思った。どんな環境でも昨日を振り返らず、明日へ自由へ進んでいく様は勇気をもらえた。

See you down the road

ネットで会う人、大体こんな感じ。
つエ

つエの感想・評価

4.3
車で寝起きし、アマゾンの倉庫などで季節労働をしながらアメリカ大陸の各地を遍歴する"ノマド"の主人公・ファーンの一年

個人の力ではどうしようもないような産業構造の変化や、その影響から人々を守るべき公助の不足など、家を持たずに放浪する人々を生む社会的背景についても一応言及されていて、現実に"ノマド"の暮らしをしている人達が本人として登場しドキュメンタリー的側面もあるけれども、劇映画としての今作の主題はあくまで彼らの内面を映すことにある

"ノマド"達が通り過ぎ或いは車を停めて仮の宿とするアメリカ各地の荒涼・峻厳とした自然と台詞に頼らず彼らの内面に迫ろうとする表情へのクローズアップとの対峙・対比に、物質的豊かさのみには決して還元され得ないようなひととしての尊厳が立ち現れ、スクリーンへの確かな吸引力になっている

自然と人間、虚と実を一身で繋いで全く隙がないというフランシス・マクドーマンドの存在感、圧倒的という他ない
Hikari

Hikariの感想・評価

3.5
ノマドの人たちの生活を描いた映画。
アカデミー賞にもノミネートされて大絶賛な作品だったから気になって観たんだけど、どうも自分には合わなかったのか途中で眠気が襲ってきてしまいました。すみません…!

映像はとても綺麗だったし良いシーンもあったが、いまいちのめり込めなかったかなぁ。

しばらく経ってまた観る機会があったら、その時は何かもっと多くのことを感じ取れると良いな。
ジュン

ジュンの感想・評価

3.7
こういう生活に物凄く憧れる。ずっと憧れてる。いいなー。
キャンピングカーで生活がしたい。
ただこの映画みたいに、実際にやる厳しさと孤独感を考えると実際はやらないだろうな。
でも憧れる。一人でいたって家族と住もうが何処にいたって孤独なときは孤独だし。
ファーンかっこいい。
きた

きたの感想・評価

3.7

このレビューはネタバレを含みます

エンドロールを見て気付いた。
主人公以外の登場人物、ほぼ実在するノマド?!

ノマドの皆はノマド暮らしに誇りを持っているように生きている。
でも、全体的な描写に哀愁が漂っており、本当に幸せなのか、幸せとは言えない中でも誇りを持って生きているのか、分からなくなった。
JackBurton

JackBurtonの感想・評価

4.8
人の優しさと孤独が詰まった作品。
家を失い夫にも先立たれた女性の車上生活を描いた作品。
とにかく全ての場面が美しい。
アメリカの広い大地で現代の遊牧民ノマドとして生きる人達を描いている。きっと色んな苦悩を体験した末ノマドとして生きているのだろう。辛い経験があるからこその相手に対する優しさを感じられた。
くぅー

くぅーの感想・評価

4.4
my映画館2021# 30 > "またどこかの旅先で。"

珍しく勤務後に見たせいか、何かとても沁み入って来ましたね・・・この生き方。

自分も海外での独り旅が好きだったので、自由も孤独もそれなりに理解できるし、この生き方には憧れるが、様々なしがらみを 今は 切り捨てることができず・・・代わりにスクリーンで自由や孤独を見に行ったりしている。

そう、"ハウスレス" って言葉はなるほどだと思った・・・彼らの心にはしっかり"ホーム"があるし、きっちりと互いに絆も存在する。

まぁ、見る人によっては至極退屈にもなる本作ですが・・・自然の懐の深さを目の当たりにすると、何て人間ってちっぽけなんだと感じ、心が豊かになりますよ。

そして、ほぼドキュメンタリーなスタイルで見せる中で、フランシス・マクドーマンドは見事に違和感なくハマっていて、流石としか言いようがない。
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くうさんが書いた他の作品のレビュー

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3.5

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それにし
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