リーマンショック後、仕事と家を失った老女は車上生活者として生きる道を選ぶ。ホームレスではなくハウスレス、貧困や社会との断絶ではなく定住しない自由や画一化出来ない生き方を描く。短期労働を繰り返しながら街から街へ、それは自由か不自由か。色々と考えさせられた。
放浪生活を送る年老いたノマドたちは自らの意思でその生き方を選んだ人と、お金や頼る場所がなくそこに行き着いた人がいる。本作の主人公は、きっかけはリーマンショックながら、自らの意思でノマド生活を送っている。一緒に暮らそうと手を差し伸べてくれる人たちもいるけど、その生き方を受け入れられない。
本作を見た印象は「生き方の多様性」、寂しさや孤独もあるけど自由がある。視点を変えると、社会からこぼれ落ちた高齢者たちが過酷な環境に適応しているだけで救いのない話でもある。…彼らを自由だとか可哀想だとかどの視点で語っても傲慢になりそう。とりあえず自分には出来ない生き方だとは思った。
※ちなみに本作中、ノマドたちの職場としてAmazonの配送センターが出てくるけど、ノマドたちは給料も良いしとわりと好評価。「へー、そうなんだ」と納得しかけたけど、ノマドたちが語らないだけで、短期労働者を搾取したビジネスには違いないし、一見平和そうな職場もまたグロテスク。
