公開を楽しみにしていた「ノマドランド」。フランシス・マクドーマンドと出会うノマドの人たちは本人出演だったのだとエンドロールを見て知る。ドキュメンタリーとフィクションの垣根を超えて、いまなにを見てるのかずっと静かに考えさせられるような映画だった。
リンダがファーンに「友達になってくれてありがとう」みたいなことを言うセリフがあってその時のマクドーマンドの表情とか全部たまらないものがあった。
言葉にするのがとても難しいし。この作品を東京の六本木というど真ん中で観てる私は、とてもやるせない気持ちになる。
大切な場所がなくなって、大好きな人を喪失して、思い出をたくさん詰め込んだ車に乗って、なんとかその日を暮らす。姉や、彼女を好きだといってくれる人、一緒に暮らそうと言われてもそれでもノマドの道を選択するファーンの意思。
彼女の目には一体なにが写ってるのか。過去の記憶、目の前に広がる大自然、仕事が決まらない現実、大切なものが少しずつ掌から溢れてそれでもいつだって選択をするのは自分だ。
リーマンショックで空いた穴は大きく、経済は沈みそうで。私たちはいったいなにを基準にどういきればいいのか。
とても静かに過ぎていく毎日と、景色の移りゆくロードムービーに身を委ねる2時間は、アカみたいなものがボロボロとれるみたいだったな。