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ノマドランドのカルピスのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
5.0
残りの人生をどの様に生きるかは人それぞれ、本作は金銭的にも追いやられ、年齢的に働くのが大変な人達がキャンピングカーでの放浪暮らしをする姿を描いた話。

フランシス・マクドーマンドが演じるファームは住んでいた極寒の地から離れて、ノマドとして暮らし始める。
最初はノマドとしての暮らしのルールや、生活の仕方などをノマド暮らししてる人達から教えられ、自身の車の内装もカスタマイズして生活を快適にしていく。
そして、仕事をするためにあっちこっち転々としながら、その土地の人達と触れ合い、自然を楽しむ姿は厳しくも愛おしい。
今作に出てくるノマドの人達は高齢者の方が多く、常に死と隣り合わせの様に感じました。
まるで最後の灯火をあげて、死ぬ間際まで自身のやりたいこと、行きたい所に行こうとしている。

少し憧れる生活ではあるけど、私自身はファームの姉と同じで、家での暮らしから離れられない気がします。

「ザ・ライダー」でも朝日や夕陽のシーンが美しかったですが本作でも美しく、アメリカのいろんな土地の朝日が見れたりするのでファームと共に自然にうっとりします。
ファームのノマド生活を始めての1年間の物語でしかないので、ある決別をしてゆっくりと終わる話でした。

ファームにとっては本作の終わりからがノマドとしての本格的な人生の始まり様に思います。
今後も死ぬまでノマドを続けるのか、いつかは一つの場所に住むのかは分かりませんが、唯一ありがたいのは、ノマド暮らしをした中で出会った人達と助け合えるし、一応帰る場所があること。

本作を見てそうゆう生活の選択もありだなと思わせてくれました。

最後に余談ですが、今作は2011年から2013年の間の話で、ファームがある町の映画館の前を歩いてる時に「アベンジャーズ」ポスターが貼ってあり、2012年は公開日の年でした。
そして、クロエ・ジャオ監督はMCU最新作で「エターナルズ」を任されてるので、運命を感じますね。
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