社会のダストダス

ノマドランドの社会のダストダスのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
3.9
久々にオープニングであのファンファーレを聞いたなーと思ったら、20世紀FOXが消えてる…時代の変化を感じる。
アカデミー作品賞にノミネートされていることもあり、大手のシネコンの大きなシアターでほぼ満席の入り。期待値の高さがうかがえる。
現状同ノミネート作品を観るのは、今年度は本作が初めて。

観終わってから知った、本編中では説明されてない情報も多く、ドキュメンタリーテイストな作風もあって、観て調べて二度おいしい。パンフレットは買わなかったけど、そこで補完されている情報もありそう。フランシス・マクド―マンドも3度目のオスカーがかかると言われるだけに、もう大女優のオーラゼロと一言ってもいいくらいに素晴らしい溶け込み方。実際にノマドとして生活始めてみたら、素でホームレスに間違われたキアヌ・リーヴスみたいに誰にも気づかれないんじゃないだろうか。

フランシス・マクド―マンドともう一人のおじさん(名前を思い出せなかった)以外の人たちは初めて見る顔だなーと思っていたら、ほとんどの登場人物がリアルノマドだったことに驚き。そもそもが作中に登場する本人役のノマド達を取り上げたノンフィクション小説ということもあり、おそらくは作中で写されるノマドの暮らしぶりも本人たち監修のもとに脚色なく描かれている。

ストーリー仕立てではないけどAmazonで始まりAmazonで終わることで約1年の出来事を描いている模様。リーマンショック後のアメリカ経済の屋台骨という存在、今や映画も作っちゃう(本作はAmazonオリジナルではないが)影響力を感じさせる、いつもプライム会員としてお世話になっているAmazonさんのちょっとした職場体験気分。働き手の受け皿である一方、共依存的というかあまり健全には受け取れない部分もあり、よくAmazonさんも実名で登場してくれたなーと思った。おかげでノンフィクション作品としての箔が格段に上がっているけど。