"家とは心の中にあるもの"
ノンフィクション小説を原作に、アメリカ西部の路上に暮らすノマド(遊牧民)と呼ばれる車上生活者たちの生き様を大自然の映像美とともに描いたロードムービー、、、
ホームレスとハウスレスの大きな違いは、"人との繋がり"があるかないかなのではないかと思う。
孤独感、喪失感、あらゆる思いをキャンピングカーに詰め込んで旅をする彼女の背中からは、決して軽い気持ちではないという意思が感じられ、あくまでポジティブな考えとして、ノマド生活で出会う人たちとの交流こそが彼女にとっての家なのではないかと思った。
過酷な環境に変わりはないのかもしれないけど、地位や世間体よりも自由や心の安らぎを選ぶ生き方というのは、日本でいうと都会のタワマン生活に疲れた人が田舎に移り住んで心の平穏を取り戻すような感じに近いのかもしれない。
決してどちらが正解ということではなく、多種多様な生き方があっていいというさりげない呈示が、マジックアワーの淡い景色とピアノの劇伴によってより身に沁み込んできて、生きるうえで何が本当に大事なのかを再確認させてもらえたような気がした。
車輪のように人と人の繋がりも無償の愛情も終わることなく回り続ける。人生とは幸福とは生命とは巡り巡るもの。
"さよなら"ではなく、"またどこかで"
