オサリバン

ノマドランドのオサリバンのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
3.9
この映画がアカデミー賞受賞作という事に、日本との文化の違いをとても感じる。

"孤独はあっても孤立はしない。日本にはない精神"とレビューした人が居た。

この映画を遠い国のお話しと捉えていた理由がこの一文に集約されている。
人付き合いに開いた国だからこそ、そこまで寂しさを感じずに済むのかなと。

"人にとってはボロいバンでも、私にとっては大切なの"

物とは思い出であり過去。
他人に無価値に見える物(思い出)を携え人生を放浪しているという点では、ある意味俺たちもノマドと言えるのかもしれない。

全てを捨て、一見身軽に生活しているかの様な彼女の生き方。
でも実は過去に縛られ、中々新しい一歩を踏み出せないものに見えた。

エンパイアでの輝いていた生活。
金融危機と旦那との死別により、思い出をバンに詰め込み放浪生活。
ノマド仲間と出会い少しづつ過去を清算していく。

門出を迎えるために、彼女にとっては必要な時間だったんだな。