やまモン

ノマドランドのやまモンのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
4.3
【見渡す限りのフロンティア】

先ず、最初に言っておきたいことがある。

それは、「我々は自由である」ということである。

ノマド=漂流者、というと、一般的にはネガティブなイメージがあるのかも知れない。

家を持たず、車両に暮らして、各所を転々としてアルバイトで生計を立てるというスタイルは、定住定職を基本としている既存の価値観とは確かに相反する。

そして、かつては、社会のはみ出し者、或いは落伍者を連想させるものであった。

しかし、既に現代社会においては、ノマドとはネガティブなものではない。

それは、新しい価値観に基づいた生活様式である。

我々には移動する自由がある。

そして、世の中には様々な仕事があり、雇用の形態も多様である。

日本であれば、スマホが1台あれば仕事の受注から起業まで何でも出来る環境だ。

そう。世の中をフラットな視点で見渡してみると、目の前に広がっているのは広大な世界であり、そこはフロンティアである。

であるにも関わらず、一体我々はいつまで土地に紐付けされた価値観に縛られているつもりなのだろうか?  

我々が土地に紐付けされているのは、税収の確保のためであり、かつては兵力の確保のためでもあった。

しかし、それはあくまでも為政者のための価値観に過ぎない。それは既に過去の遺物と言えよう。

今はまさに、かつてのアメリカの開拓者たちのように、フロンティアに踏み出すべき時である。

そしてそれに必要なものは、ほんの少しの勇気だけなのだ。

好きに生きて、生きるだけ生きたらあとは静かに消えていく。

自由のなんと尊いことよ。