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ノマドランドのtaruponのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
4.0
アカデミー賞、ヴェネチアの金獅子省などなどを数々受賞した作品。
リーマンショックの影響を受けた高齢者の車を家に各地を転々としながら、短期の仕事をしつつ流浪する生活を、フランシス・マクドーマンド演じるファーンを中心に描く。

ヴァンに最低限の家財を積み、短期の肉体労働をしながら、自然に身を置きそのうつろいを楽しみつつ過ごす生活。
自由といえばそうだけれど、それと引き換えに自分自身がすべて責任を負って過ごさなければならない生活。パンク等車にトラブルが起きた時、病気、急な出費こうしたことに1人でも対処できるようにしておかなければならない緊張感、基本的な生活基盤も小さな車(決して贅沢なキャンピングカーではない)と行く先々の状況に依存する生活。
そうであっても、あえてその生活を選び、静謐に、でも程よい距離感で同じような仲間たちとかかわりつつ、亡き夫との思い出を心に抱いて生きるファーンの表情が、生活に疲れていなくて誇り高く美しい。
彼女の行く先が、岩と砂と石が主体の砂漠の地が主。夫とともに過ごした土地であるネバダのエンパイアが彼女の心象風景そのもので、青い海緑豊かな土地は、受け入れきれないものがあるのだろう。

アメリカのの風景が圧倒的に美しい。これを見ていると、これがアメリカ大陸という土地なんだなという感がある。
そして、60代前半というファーンの年齢。自分よりも少しお姉さんの彼女をみていると、すごく痛く、客観的に見切れない息苦しさも感じる。
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