キツネとタユタム

ノマドランドのキツネとタユタムのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
3.9
キャンピングカーで生活することを選択した60代女性と、同じくキャンピングカーで生活することに決めた人々との交流を通し、自由な選択とその裏に隠された苦しみを描いていく作品。

現代のノマド(遊牧民)を描いている作品。ノンフィクションというのも驚きである。
こんな生活をしている人たちがいること何て知らなかったし、色んな生き方があるんだと感じさせられる映画。自分では絶対に描けないし、想像もできないものを魅せてもらえるのも映画の良さなんだなとつくづく実感する。

キャンピングカーでの旅がずっと描かれていき、特別すごいことが起きることも無く、色んな人と出会いながらも淡々と過ぎていく日々を観せられる。
自由の代償として、現実の厳しさもあり、その中での人々の助け合いの温かさに胸が熱くなる。広大な西部の自然は圧巻の一言で、綺麗な映像に癒されることも。
選択するのは自由だし、その代償も自分に跳ね返ってはくるんだけど、それも含めて受け止めて生きる生き方が、自分らしく生きるということなのかなと思う。

とてつもなく大きなことが起きるわけでも無いので、飽きてしまう人もいるだろうなと思う映画なんだけども、知らない世界の知らない人の人生の一部分を観て感じることができるので、密な時間は味わえる。フィクションだったらこんなこと思わないのだけども、ノンフィクションだというので、価値がある映画なのかなとも思う。

主演のフランシス・マクドーマンドはスリービルボードという映画でも頑固な女性を演じているので、こういう役どころが性に合うのかと。頑固だけど信念が強い女性像というのは友達になるのは難しいけど尊敬できるなと思うし、そういう生き方も悪くないのかなと思わせてくれる。

ゆったりとした気持ちなときに、ゆったりとした時間の中、心に残るものを観たいときにおすすめ。そんなときあるのか分からないけど…
キツネとタユタム

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