ダイヤモンド

ノマドランドのダイヤモンドのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
3.0
採掘場の封鎖によって、一つの町が消滅した。
そこに住んでいた人々も勿論、四散。
ファーンも亡夫との思い出を胸に、家を捨て、キャンピングカーで寝起きする生活に入った。

“ノマドは皆 悲しみや喪失感を抱いてる。それでいいんだ。当然だ。“

ホームレスならぬ、ハウスレス。一箇所に定住せず、不定期の職を得ながら、全米を流れる者たち「ノマド」。
上記の言葉は、彼らを支援する「RTR」の主催者ボブ・ウェルズの言葉。彼自身も、息子の自殺により、生きる意味を見失った。絶望の末に自ら命を絶つことを考えたこともあったが、同じような人々を支援することに新たな生きがいを見つけた。

ノマドは生き方の一つ。そしてそれを受け入れられるアメリカの懐の大きさに驚かされました。
ただ単純に、素晴らしいことと称えられないのはやはり彼らの生活の厳しさ。
生活の糧や健康管理、常に危険と隣り合わせの日々、先行きの不安や孤独など、自由ではあっても謳歌できない無防備な自由。

そんなノマドの生活を垣間見せてくれるロードムービー。特に印象的なのが、ファーン役のフランシス・マクドーマンドの独りでいる時の表情。彼らにとって人との触れ合いは何よりも貴重なものであるが、本質は独りの時。口を結び、虚な目をして、考え事をしたり、何かをしている時の表情が胸に残りました。