サンタフェ

ノマドランドのサンタフェのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
2.5
めちゃくちゃ居た堪れなくなってしまった。

ララランドあたりの2016年前後の超懐古主義ハリウッドもなかなか居た堪れなかったですが、それから5年経ってアメリカもここまで来たかという感じ。

全編に渡る登場人物の「心の底からは笑えていない」雰囲気。社会保障を削ぎ落とし家族観が薄れ個人主義にひたすら走った国の末路。全く同じシチュエーションでも社会保障が充実し正真正銘”選択肢”としてノマドができる北欧が舞台だったら「ミニマルで丁寧な生活」として新たなライフスタイルに見えるんだろうなというやるせなさ。本作は「こういう生き方もあるよね」みたいなニュアンスをかなり加えていますが、原作はバリバリの社会問題提示書籍です。

正直ノマドがこのレベルで社会問題になりえる国って社会保障制度の乏しさと希薄な家族観メンタリティの合わせ技で世界でも米韓くらいなので、アメリカ可哀想〜としかならないんですよね。シンプルな貧困国の場合は家族はもっと結束しますし本作のような”プライド”が邪魔することも少ないですから。もっと必死に生きています。

この作品がOne of の映画ではなくアカデミー賞を受賞してしまうという事実。アメリカ社会、大丈夫か……。
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