ノラネコの呑んで観るシネマ

完全なる飼育 etudeのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

完全なる飼育 etude(2020年製作の映画)
3.9
今度は女が男を飼育する。
月船さらら演じる落ち目の天才舞台演出家が、時代劇「完全なる飼育」を上演しようとするのだが、パワハラ体質すぎて主演俳優が逃げ出す。
そこへ謎めいた若い役者が代役に名乗り出て、演出家との狂気のリハーサルがはじまるという話。
元の話を劇中劇(思いっきりアングラな時代劇)に閉じ込め、現実世界でその逆転版をやるというメタ構造は面白い。
しかも現実世界の物語の方にも更なる捻りがあって、シリーズの構造を逆手にとった、先の読めない情念の物語はなかなか見応えがあった。
残念なのは、話の腰を折る舞台関係者のコントみたいな絡み。
あれ、一作目の主役の竹中直人を無理矢理出すためのきっかけ以外、全く意味ないと思うのだが。
せっかく月船さんが出てるんだし、舞台と客席だけの話にした方が、ずっと締まった作品になったんじゃないか。
ちょっと勿体無い。