とらキチ

ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償のとらキチのレビュー・感想・評価

4.0
これもまた1969年の出来事。
1960年代後半から70年代のアメリカで、急進的な黒人解放運動を展開した政治組織「ブラックパンサー党」の指導者フレッド・ハンプトンが暗殺されるまでの日々を描く。
フレッド・ハンプトンは「シカゴ7裁判」にも登場していて、そちらではケルヴィン・ハリソン・Jrが演じている。
「JUDAS AND THE BLACK MESSIAH」の原題でFilmarksに登録された時からずっと気になっていて、オスカーも多くの部門でノミネートされ2部門で受賞、ダサい副題付きの邦題に変わっていよいよ日本国内でも公開かとずっと待っていたけれど、結局劇場公開されなかった残念極まりない作品。しかもソフト化📀についても今のところDVDしか発売されていないようで不遇過ぎる。
もうタイトルからして刺激的。
若き組織のカリスマと彼を裏切った人物を救世主メシアとユダになぞらえるセンスがカッコイイ。
フレッド・ハンプトンの人間的魅力で地域の黒人や貧困層に取り入っていく姿やブラックパンサー党という組織の当時の内実なんかを知ることができただけでも有意義な作品。このような結果になってしまったというのは、やはり時代が彼らをまだ受け入れられなかったということなのか。
オニールに組織潜入を唆すFBI特別捜査官役のジェシー・プレモンスが見た目共々あまりにも役にハマり過ぎている。またブラックスプロイテーションな作品なだけに、使用される楽曲、劇伴が素晴らしい。
ラストの解説や実写フィルムが、いつも以上に心にのしかかる。フレッド・ハンプトンの最後も惨いが、裏切者オニールの末路は、より一層哀しい。
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