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ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

3.3
人種差別反対運動で影響力のあったマルコムXとキング牧師が暗殺された後、1960年代後半躍進した急進的な黒人解放組織「ブラックパンサー党」の指導者フレッド・ハンプトンが暗殺されるまでを、FBIに命じられて同党に潜入した男性オニールを通して描いた実録ドラマ。
監督はシャカ・キング
原題:Judas and the Black Messiah (2021

1968年のシカゴ。
FBI捜査官に成り済まして車の窃盗事件を起こした17歳の若者ウィリアム・オニール(ラキース・スタンフィールド)は、FBIのロイ・ミッチェル特別捜査官(ジェシー・プレモンス)から取引を持ちかけられ、刑務所送りにならない見返りとして、ブラックパンサー党のイリノイ州支部に潜入し、カリスマ的指導者フレッド・ハンプトン(ダニエル・カルーヤ)に近づく。
ハンプトンの逮捕、本拠地事務所への銃撃と焼き討ち、ハンプトンの出所を経て、FBIのジョン・エドガー・フーヴァー長官(マーティン・シーン)は、ついにハンプトンの暗殺を指示。
1969年12月3日、ミッチェルたちがハンプトンの暗殺を実行することになり、脅され拒否できないオニールも暗殺に協力。
ハンプトンの恋人身重のデボラ・ジョンソン(ドミニク・フィッシュバック)を含めた9人の寝込みを襲そう…。

「車泥棒で1年半、捜査官成りすましで5年」

「戦争は血を流す政治
政治は血を流さない戦争」

「革命家は殺せても、革命は殺せない。自由の戦士は殺せても、自由は殺せない。私は革命家だ」

~後日談の一部~
・ウィリアム・オニールは、一度だけメディアのインタビューに応じた1990年1月15日(キング牧師の日)の、その夜に自殺。
・殺された時、フレッド・ハンプトンは21歳、マーク・クラークは22歳。
・警察側の発砲は99発。党の反撃は1発だったが、7人の生存者は殺人未遂などで起訴された。
・2人の遺族と生存者は4770万ドルを求め民事訴訟をおこした。FBI、シカゴ警察、州検察が共謀してハンプトンを暗殺したと訴えた。12年後(当時民事訴訟としては最長)、185万ドルで和解。

当時、共産主義(毛沢東主義)に根ざし、武器(武力)による黒人や貧民の解放を目指したブラックパンサー党を、FBIのフーバー長官らが危険視して殲滅を図った歴史に根ざした作品。
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