ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争は「エスニック・クレンジング」という、まさしく民族を消し去ることをイメージさせる言葉が一般に流通するきっかけとなった戦争です。
その言葉の誕生にはボスニア政府と契約していたアメリカの広告代理店がセルビア側を非難するために編み出したという経緯があるにしても、この映画で描かれる「スレブレニツァの虐殺」そのものはすでに事実認定されていることです。
そのショッキングな言葉にとらわれて、ことを一方的に見誤らないようにしないといけないのですが、この映画はそのあたりをとてもいいバランスで描いています。
見るものを過剰に煽ることなく、ムラディッチを過剰に悪人に仕立てることなく、また、アイダを善人に仕立てることなく、国連を正義の主にすることなく、それでいて虐殺の残虐性、非人道性を感じさせています。
「ネタバレレビュー・あらすじ:アイダの苦しみを共有できるのなら世界は…」
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