TenKasS

アイダよ、何処へ?のTenKasSのレビュー・感想・評価

アイダよ、何処へ?(2020年製作の映画)
-
顔の映画。
アイダが群衆から個々人(家族)を見出すところから始まる。
通訳ゆえ事情を完全に察してとにかく家族だけでも…と奔走するが、その帰結の虚しさたるや。
一人の人間にできることの小ささを思い知ると同時に、彼女が奔走する中で観客が、群衆から見出した個人たちが迎える帰結もまた、歯痒さを際立たせている。
映画の特性の流れゆく物語をただ観て聴くしかない部分を顔を覚えさせることで巧く使い、観客とアイダに連関を持たせていた。
人質に最期の瞬間が訪れる時(武装集団が「映画が始まるぞ!」と叫ぶのも無関係ではないと思う。)劇場では「あぁ…」とやるせない溜息が漏れていた。
TenKasS

TenKasS