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アイダよ、何処へ?のnadaのレビュー・感想・評価

アイダよ、何処へ?(2020年製作の映画)
4.2
ヤスミラ・ジュバニッチ『アイダよ、何処へ』圧巻だった。国連軍の通訳という「媒介者」の悪戦苦闘とジレンマと「無力さ」が緊密なサスペンスとして描かれる。このジェノサイドに肉迫するためには何を撮るか以上に、何を「撮らない」かということが重要なのだ、ということに極めて自覚的な映画と言える。ひとびとが虐殺される決定的な瞬間は描かれないのである。銃声と噂話と不安と諦念があるのみだ。このことにより、観る者は「事件」のただなかに没入させられる。息も詰まる画面と緊張が全篇を通して持続されるのだが、通訳の3人がジョイントをまわして一服しているところで自然と音楽が入り、そのままパーティーの回想に流れていくくだりには個人的に胸を打たれた。無表情で踊る大人たちの顔はラストの発表会での子供たちの天真爛漫な表情と(残酷に?/鮮やかに?)対比され、再び観客は宙吊りとなり、映画は安易な解決と享受を拒絶する。