Aya

アイダよ、何処へ?のAyaのレビュー・感想・評価

アイダよ、何処へ?(2020年製作の映画)
3.5
#twcn

戦争映画じゃなかった。
ジェノサイドの映画だった。

そして親が子に対して究極の選択をする映画でもあった。

ちょっと先に映画の内容とは関係ないこと聞いてもいいですか??

この映画の中で別れ際のアイダに

「シーユーレイター!アリゲイター!」
(See you later,Alligator)

って言ってる人いましたよね?!
あの息子の同級生のボスニア軍兵士の子!!
聞き間違い?!
てか言語が違う?!

わたしの"映画でよく耳にする好きな台詞"の中でトップ5に入るくらい好きなんですww

まぁ、いつものことですが・・・何も知らないでなんか社会派ダヨネ!ぐらいの感覚で日曜朝の映画館へ。

冒頭からイカつい表情のアイダが英語とクロアチア語かよくわかんない東欧系の言葉を通訳してます。

オランダの国連軍が地元の民に「ボスニア軍は攻めて来ないから武装解除しなさい。さもなくばNATOが攻撃しますよ?」

というが言われた市長は「いや、国連が指定する安全地域やのに何回も紛争に巻き込まれてますやんか!ボスニア軍が下がるのが先だろ?!てかちゃんと決めたのに保護しない国連が悪い!」

って揉めてるんですね。
その翌日、彼らの街スレブレニツァが爆撃を受け多くの人々が国連施設へ避難する。

そう。
これは戦争の映画でも紛争の映画でもなくスレブレニツァの虐殺とそれに巻き込まれる国連通訳のアイダとその家族を描いた映画です。

てか!
ボスニア軍のクソ野郎ムラディッチ役の人見たことあると思ったら!!
ポール・フェイグの2019年作品"ラスト・クリスマス"のエミリア・クラークのパパンやんww

そういえばエミリア・クラーク一家はユーゴスラビアからの難民という設定でしたね。

パパンも自国では弁護士、ロンドンではタクシー運転手。
優しいパパンだったけど顔はそんなに違わなくて、ええて?!?!?!ってなった。

わたしは自称ガンマニアですが消火器系(ハンドガンなどの単発系)が担当でアーミー系(先頭に用いる大型連写系)はてんで疎い。
(いきなり何?!)

いや、戦争が嫌いなんですよ。

爆撃とか怖いですよ。

映画で見てても最初の爆撃の時の音にビクッとしたし、カラシュ(カラシニコフ)で処刑されるあのシーンですらビクビクしてました。

しかしこの映画ハッキリとした意図があり直接の処刑シーンは描かれない。

日本ではPG-12。
つまり小学生でも親が許せば観れる。
これはとても大切なこと。

だってわたしこの話知らなかったもん!
お恥ずかしながら・・・宗教と民族が複雑に絡んだ紛争とはいえ1995年なら物心付いてたはずだしニュースとか見てだかもしれないのに。

ほんとに恥ずかしいと思った。
でも無知は悪いことではない。
この映画を見ることでボスニア・ヘルツェゴビナ紛争について少しだけど知ることができた。

ムスリムの多いボシュニャク人。
ギリシャ信仰のセルビア人。
カトリックの多いクロアチア人。

この区別ついてなかった。
民族や宗教で人を判断したり区別する必要はないかと思いますが、それぞれのルーツや家族や家系図を知ることで相手に対する思いやりが生まれる。

いやそんなものなくても他人を思いやれよ、というのは真っ当なご意見ですすみません。
精進いたします。

そしてこの映画では子供に対する視点・感情というものが突きつけられます。

子供たちにはなんの罪もない。
めっちゃくちゃ当たり前のことですけど?!

何も知らない無邪気な子供たちを見せることで観客の感情を煽ります。

歴史があれば子供には親がいるしその親もいる。
そして親たちが歴史を作ってきた。

では親には罪があるのか?
その親には??

そしてそれがその子供にどのように影響するのか?
現在進行形で深い話だと思いました。

決して過去の残虐な歴史映画ではなく今なお苦しむスレブレニツァの生き残った人々、そして周辺諸国の、民族・宗教の紛争や虐殺、歴史に苦しむ人々へ我々が目線を向ける機会を作ってくれた。

"ラスト・クリスマス"の家族だってそうだよ。
エマ・トンプソンはロンドンで家族がいても今なおドイツやKGBを恐れ、夢にうなされていたじゃないか?

映画とは何たる意義のある役割を担うものなのでしょう。
遠い日本でわたしは今日、この歴史を知りました。
そしてこれからも調べ、学び意識し続けるでしょう。

ラスト近辺のアパートのとこキッツイわー。
誰も悪くないのにみんなが傷ついてる。

あと、わたし的に一番きついと思ったのは「どちらか1人だけでも」のシーン。

うそぉ・・・そこに優劣をつけるとかそれこそ戦争とか以上の地獄なんですけどアイダと親父、と思った。

どっちにする気だったの??
答えが決まってたから声に出したんでしょ??

ほんとあそこが一番身近な問題だからか吐きそうだった。

そして当時の記憶が鮮明に残っているであろう女性監督ヤスミラ・ジュバニッチ。
"サラエボの花"しか知らねぇ、と思ったら日本語で見れるのが2010年の"サラエボ、希望の街角"の3作しかないんですね。


日本語字幕:吉川 美奈子