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アイダよ、何処へ?のマコティのレビュー・感想・評価

アイダよ、何処へ?(2020年製作の映画)
3.8
スレブレニツァの虐殺をテーマにした作品だけれども、説明が一切はいっていない。
ただ、作品を見続けるうちに登場人物の発言から紛争の原因を理解することができるので、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争を知らない人に対してへのメッセージも弱まることがない。

現代は「Quo Vadis, Aida?」これを調べてみると新約聖書の「Quo vadis, Domine?」が元ネタになっているとわかった。
ネロ帝の迫害を逃れてローマを去ろうとしていたペトロが、アッピア街道でキリストに出会った時に発した言葉とされる。

この作品でアイダは主となる、救いを与える存在として描かれている。
作品中、彼女の事を呼びとめる人が多い。
国連軍を必死で止め、人々を救おうとするアイダは、街の人にとっての救世主になりうる人物だったのだ。

印象的だったのが、一兵士が旦那さんに張り手をするシーン。
助けを求めようとする中で、数々の絶望的なシーンが襲うのに実際の暴力のシーンはそこだけ。
それがあるからこそ、虐殺という最も残忍で強力な暴力があった事実が引き立つ。

この作品を自国の監督が、自国のプロダクションで世界に発信したことはとても大きな意味がある。




しかし国連って肝心なところで機能しない。
この事件に至っては加担してしまってる節もあるし。




2022014
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